『猥褻』

どんな服を着ても
どんなメイクをしても
隠せないものがある


『猥褻』


口を開けば奥ゆかしく
楚々とした微笑を絶やさず
如何にも品良く育ったような
そういう女という体で生きてきた

育ちが出ると言うのなら
本来持って生まれた性質と
どうやって折り合いをつけるの
いつかは明るみになる日が来るわ

決して恐れている訳じゃない
きっとその時アタシは解放されるから
ただ愛されなくなることは怖い
見向きもされなくなるのは悲しい

理解できると口では言いながら
裏で舌を出す彼らに興味は無い
ただ貴方の射抜くような目が
頭の芯を痺れさせるから動けない

不思議なくらい身体は冷えて
それなのにどうして
何もかも受け止めてくれそうな
甘い予感に引きずられる

アタシと同じように貴方にも
世間と相容れないものがあるの?
いいえ、きっとあるのでしょう
こんな風に不躾に暴くのだから



「裏で舌を出すのはアタシも同じ」

『猥褻』

『猥褻』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted