『猥褻』
どんな服を着ても
どんなメイクをしても
隠せないものがある
『猥褻』
口を開けば奥ゆかしく
楚々とした微笑を絶やさず
如何にも品良く育ったような
そういう女という体で生きてきた
育ちが出ると言うのなら
本来持って生まれた性質と
どうやって折り合いをつけるの
いつかは明るみになる日が来るわ
決して恐れている訳じゃない
きっとその時アタシは解放されるから
ただ愛されなくなることは怖い
見向きもされなくなるのは悲しい
理解できると口では言いながら
裏で舌を出す彼らに興味は無い
ただ貴方の射抜くような目が
頭の芯を痺れさせるから動けない
不思議なくらい身体は冷えて
それなのにどうして
何もかも受け止めてくれそうな
甘い予感に引きずられる
アタシと同じように貴方にも
世間と相容れないものがあるの?
いいえ、きっとあるのでしょう
こんな風に不躾に暴くのだから
「裏で舌を出すのはアタシも同じ」
『猥褻』