未確認用語集 7


・枕放浪(あねむり、まくらぼうろう)   眠りにつく夜中の闇にあらゆることを悪いやうに考へてしまふこと
「枕放浪では遠い昔のイヤなことが何度も繰り返されたり自分の夢や想ひを嘲笑ふ人達が無責任なことを言ってそのまま消えていったりする。しかしどれもこれも自分の魂が招いた禍であるに、また自分を責めるのである」



・阿媚犬(あびいぬ)   さして能力はないが気遣ひや人当りの良さで重要な地位に居座って居る傲慢な人
「阿媚犬の笑顔は外から見れば気持ち悪いが、いざその現場で顔を合せれば誰よりも挨拶とか言葉の選び方が良い人さうに思へる屈託のない笑顔なんだらう」



・凍て裾(いてずそ)   真冬の朝のズボン
「凍て裾がつらいなら寝る時からもう穿いておけばいい。倫理観?あ~居る居る然ういふ不要な潔癖観を持ってる奴」



・推死僧(おじぞう)   本当はイヤなのに同じ映画を何十回も観に行くヲタ
「推死僧こそ社会の闇を表してる。部活のやうなもので得る架空の充実感でもなければ正気で生きて居られない人達であった」



・御殺す(おんごろす)   心の中で恨み殺すこと
「誰かを御殺せば御殺すほど自分を裏切ることになる。本当に手を出すか全く忘れるかすれば良いのに、全く行動には起さないくせに変に根に持って自分を腐らせていくんだから」



・紙ペラ族   ペラペラの新築の家の暑さうな庭でアホさうな親が白昼に子供たちをビニールプールに入れてるやうな家族のこと
「ちょ待ってや其処の紙ペラ族の父親がさサングラスしながらタバコ吸うてんねんけど。えホンマにお前が産まれるん許可したん誰なん?」



・愚砲(ぐほう)   マスクもせずに電車内で咳き込む人、その行為
「たった一度だけ愚砲が手前に居ただけでもう二週間近くも苦しめられて居る。お陰でこれからは私もちゃんとマスクしようと思ふやうになりました」



・知仏、後仏(しりぼとけ)   興味がなくやる気が無いから「難しい」と言って取組まない人
「わたしは英語に関しては知仏を貫かうと思ひます。英語って難しい!ああ難しい難しい」



・ずる剥け   めちゃめちゃ空気が澄んでる日の遠くの山のこと
「うわ~今日はずる剥けとるがな。木一本一本まで見えるやうやで」



・鷹の爪チャレンジ   食べてる途中に偶にむせて鷹の爪が口から鼻に入って大変なことになるので然うならないやうに気をつけながらペペロンチーノを食べること
「任せなさい。幾つ苦しんだことか。ペペロンチーノのことはそこまで詳しく知らないが鷹の爪チャレンジのことならもう幾らでも知って居る」



・筆やか(ふでやか)   書く文字は綺麗なこと、習字が矢鱈と得意なこと
「いや~あの人の字は筆やかですね~。何か心なしか背筋もまっすぐ伸びてますよね。いや別に僕は然ういふの結構ですね。ああいふひと嫌ひなんで」



・名誉理事(めいよりじ)   「理事会の方で」「理事会が~」って言ひたいだけの一定年齢以上の高齢者
「名誉理事がもはや得意気さうでもなく手慣れた重役みたいな表情で囁いて居た。今度、理事会で話すから、だって。お前らか。お前らがすべて決めてるのか」



・召され人(めされびと)   才能もないのに主役とか司会とかに抜擢され続け何故か大物として振舞ひ続ける旧時代のアイドル芸能人
「数多の俳優や芸人たちが召され人の幅の利かせ方を実際にその目にすることで芸能界とはどういふ場所なのかを学んで来たわけだ」



・雇はれ上手(やとはれじょうず、やとはれじゃうず)   社畜
「アイツ雇はれ上手だからな、人から蔑まれ軽んじられても耐へ忍ぶ訓練が行き届いてんのよな。知らね。アイツが自分から変らうとしないと変んねえよ」



・勇敗(ゆうはい)   何かを得るために何かを失って結果的にその判断が間違ってたこと
「ただ創作するだけの心地よい日々のために折角うまくいきかけて居た社会との接点をまた失ってしまった。勇敗の誉を以てまた今日もただ独りを生きる」



・綿玉(わただま)   ポメラニアン
「綿玉も良いよ?だけどね、チワワと合せたらもう一番かはいい生き物になるからね。ちょっと肥えた水谷豊に見えることもあるけどね」



・煖固派(だんこは)   冬にもなると窓は閉めておきたい人、煖房を普通に使ひたい人
「煖固派には恐らく汗かきなど一人も居ない。もし居たのなら同じ汗かきとして認めてやらない」



・生空気派(なまいきは)   冬でも窓は開けておきたい人、煖房がイヤな人
「閉めるな閉めるな!我は生空気派だ。空気が止まる。寝てる間になんて閉めたら朝の頃には窒息するぞ」



・闇土人(やみどじん)   救ひやうのなく伸びしろのない土人
「社会には億千万と愚かだったり平凡すぎる人達が居てみんな社会を回して居る。それら全員が闇土人と思へば寧ろ大切な存在に見えてくることだらう」



・光土人(ひかりどじん)   今はまだ土人なだけの土人
「光土人は気づいて居ないといふより、疑問が解消されて居ないだけの状況なんだらう。自分も誰かももっと報はれるべきだと思って居るがその糸口が見つからないのさ」

未確認用語集 7

未確認用語集 7

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-12

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