いとおしいとは

いとおしいとは

あなたと離れて2年以上経った。
その間に大切なものができた。
この命に替えても守りたいものができた。
伴侶、ペットのねこ。
そしてこの春、わが子が生まれた。
それはそれはかわいくて、愛おしくて。
毎日大変だけど幸せで。

でも。

たまに考えてしまう。
もしあのときあなたと別れていなければどうなっていたのだろうか。
きっと今みたいな幸せはなかっただろう。
毎日満たされた気持ちで眠りにつくこともなければ、穏やかな寝息を隣に感じながら優しい時間を過ごすこともなかっただろう。
布越しに感じるぬくもりと鼓動に安堵する夜もなかっただろう。

こうやって、この先一生訪れることのない『もしも』を描いては消して。
そして、安心する。
私は今こころから幸せなのだと。

あなたと過ごした時間は楽しかった。充実していた。でもそれと同じくらい不安で心許なかった。縋りつくものは何もなくって。支えにするものは見つからなくって。
あんな虚しい時間はもう過ごしたくないと。

でも。

一緒に過ごした毎日と、あなたの笑顔はただただ愛おしかった。
この気持ちに嘘はなかった。

いとおしいとは

たまに私の中に現れるあなたは、いつも。

いとおしいとは

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-05-10

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