『異星の人』

つれない態度が興味を誘って
気づけば深い沼にどっぷり


『異星の人』


廊下の向こうから歩いてくると
誰より早く貴方だって気づける
目で追う頻度は完全に片想いのそれ
だけど気にして欲しい訳じゃない

不思議な言語が頭を素通り
事実だから馬鹿にされてもよかった
透明人間になった気持ちで
見つめることができるから

渡り廊下を走ったアタシに
軽く注意した貴方はまるで
違う星から来た人ね
言葉の意味さえあやふや

愛されるなんて当たり前に
有り得ないと分かってるから
名前を呼ばれて怖いくらい
高鳴る心臓の音が五月蝿い

黒縁メガネの奥で注意深く
全てを掌握するその視線
アタシに纏わりつく日が来るなんて
今日から貴方だけの生贄ね

貴方の世界とアタシの世界が
交わるただ一点で深く繋がる
痛みを伴うのは違いすぎるから
だけど笑ったのは嬉しいから

どうしたって違うなら
それを可愛いと言ってよ
アタシは好きしか知らない
眼鏡を奪ってキスしたいだけ



『僕からすれば君こそが異星人』

『異星の人』

『異星の人』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-05-06

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted