宿命的孤独者の述懐
どこへ行っても自己への許せなさ──自己否定に次ぐ自己否定──が附いてまわる。俺を受け入れてくれる場所など無い……。俺はどこにいても耐え難き疎外感を感じる。身が張り裂けそうになるほどの疎外感を。逃げてもいい……そう誰かが言った。俺はその言葉に従い、逃げつづけた。逃げつづけた結果が、このざまだ。もうどこにも逃げる場所など無い。袋小路だ。逃げてもいいなどと宣う連中は皆、誰も責任を取りやしないんだ。あんなもの口先だけだ。そう、畢竟、俺は自分で自分の始末をしなければならない……。そしてその決断は刻一刻と迫っている。なぜ俺はこうも生きにくい性質に生まれ落ちてしまったのだろう。なぜ俺には他の人間にできることができないのだろう。なぜ俺はやることなすこと、すべてが裏目に出てしまうのだろう。俺は自分のこんな性質に常々煩わされ、辟易とさせられてきた。俺の頭は何本か螺が外れているのだろう。そのために俺は他人と波長が合わないんだ。疎外を強いられているんだ。俺はずっと孤独だった。人が俺の孤独に理解を示そうとすればするほど俺の孤独は強まり、酷く惨めな思いにさせられた。俺は自由気侭に振る舞う己の孤独を持て余していた。他人にどう寄り添われたところで少しも癒えやしない渇きに悩まされていた。俺は誰とも通じ合えない、その自覚は日ごとに強まっていった……。それは不憫に思われるべきことだろうか、憐れまれるべきことだろうか。俺と同じような存在が他にいるだろうか。だがその俺と類似した人間にしたところで、俺と同じように人を寄せつけない思想を抱いているだろうから、通じ合うことがなければ、交わることもないだろう。孤独とは後天的になるものじゃない、先天的に、運命的に決まっていることだ、それはどう足掻いても避けられない宿命だ……。俺は誰に言うともなく呟く。袋小路、もう手詰まりだ。
宿命的孤独者の述懐