蜜柑・告天子・海雀

  蜜柑(みかん)

少し(いびつ)な其の球体は、
灯りに照り、
橙色の皮を魅せ、
()は漂ひ、
机の白色を穿(うが)つ。

  告天子(ひばり)

深緑(しんりょく)の麦畑は
告天子の(こえ)に揺れ
(さえず)りは電車を打つ
(こう)の流れに逆らって
六尺ほどの風体(ふうてい)
春の番人を務む

  海雀(うみすずめ)

冷たい水にぽつんと浮かび
揺り上げ揺りすゑ漂って
藍鼠(あいねず)の海に抱かれて
見えぬ未来に羽を振る

蜜柑・告天子・海雀

蜜柑・告天子・海雀

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-12

CC BY-NC
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