或る山の廃屋

雨の(しずく)が、トタン屋根に、ぽつ、ぽつ。
(つた)()かれた樹の葉から、ぽつ、ぽつ。
しづか。しづか。
(ひき)何処(どこ)かで、仲夏(ちゅうか)の晩に、ぐう、ぐう。
怖ーい。怖い。
(あま)りの暑さに、()へれず堪らず、ぐう、ぐう。
怖ーい。怖い。

ぽつ、ぽつ、ぐう、ぐう、
ぽつ、ぽつ、ぐう、ぐう、
ぽつ、ぐう、ぽつ、ぐう、
ぽつ、ぐう、ぽつ、ぐう、
あ、彼が田に逃げた。

或る山の廃屋

或る山の廃屋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-12

CC BY-NC
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