鹿・菟

  鹿

啼く(こえ)の (こだま)谿(たに)に沈みけり
垂水(たるみ)は春に なりにけるかも



  菟
淡雪は、ふはり、ふはり。
粉雪は、しん、しん。
銀色(しろがねいろ)天鵞絨(びらうど)()かれた原つぱに
(わた)のやうな雪を枕藉(ちんしゃ)する。

草を践んで 雪は白毛(はくまう) しらじらし
(あか)き瞳の 奥に降りつむ

鹿・菟

鹿・菟

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-12

CC BY-NC
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