TRIANGLE-WAR 序

プロローグ

荒れ果てた暗闇の大地に暴風が巻き起こり、激しい唸り声が不気味に木霊している。
「皆の者よ、よく聞け!」
黒雲が渦巻く魔界の空に、魔王の一声が響き渡った。
世紀に一度「魔界格闘審議会」として行われる武闘場、ネオ・コロシアムに数万名もの魔物たちが片膝を床に着け集結している。
会場の際に設置された炬火の燃えたぎる炎が風に揺らめいている。
その前方には石膏で造られた黒く巨大な椅子。そこに深く座る怒りの表情の魔王・ガウザ。ガウザは静かに椅子を回転させ、すくっと立ち上がり拳を握った。
「これ以上、地球を神などに任せてはおけぬ!」
群衆は一斉に頭を低くした。
「よいか、皆の者。もう、おまえたちの力だけで人間どもを潰すことはできん。こうなったら最終の手段でゆく」
静まり返る魔物たち。メラメラと炬火の音が響き渡る。
「我が息子ガルネの命と引き換えに、今日、人間界の破壊計画を実行に移す!」
「オオオオーーーー!!」
魔物は立ち上がり歓声を上げた。

大歓声の中、体格のいい召使のスネークがガウザに問いただす。
「やはり、その方法になさるのですか、魔王様……」
「そうだ、仕方のないことだ……ガルネも承知の上でいる」
「はい……」
「私はもう我慢がならぬ。神はなぜ人間どもを放っておく……このままでは今に地球は滅んでしまうというのに」
「おっしゃるとおり……地球を人間などの管理下にさせておくべきではありません。あの星は私たち魔界の者の手に落ちるのが本望。しかし、本当にガルネ王子の魂を人間などに預けてしまってもよいのですか……」
「心配するな、スネーク。いざとなればこの私の命をガルネに授けることもできる……」
「ま、魔王様!?」
「スネーク! 今、ガルネはどこにおる」
「はっ。只今王子は地獄へ落ちた人間どもの魂を処分されております。魔王様の判断が下されるまでは処理場におられると」
「そうか……よいか、スネーク。何度も言うがこの魔物たちの力だけではあの人間どもを潰すことができん。神に感づかれぬ方法でやるにはガルネの力が必要になるのだ」
「はい、わかっております」
「こうなった以上、人間どもを潰すにはそれなりのやり方でやる。奴らには一番の屈辱的な死に方が似合っているのだ」
スネークの背後にもうひとりの召使・マブルが立つ。髪の長い綺麗な顔立ちの青年。
「魔王様。私、このマブルもスネークと共にガルネ王子のお供をいたします。計画実行までに王子の身に何かあってはなりませんので」
「よし。では頼む。ガルネの手となり、成功に導いてくれ」
「はい」
スネークがマブルの肩をポンと叩く。
「頼むぞ、マブル」
「ああ」
ガウザは拳を強く握りしめ、群衆の前に立ちはだかった。
「愚かなる人間は、その愚かな人間に殺されるのだ!!」
魔界全体に再び歓声が沸き起こった。
ガウザがマブルとスネークに振り返る。
「直ちにガルネを呼べ」
「ははあっ」

TRIANGLE-WAR 序

TRIANGLE-WAR 序

おまけ

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted