祈りの弾丸

夜は青さを増していく、青すぎる夜が怖くて

僕は拳銃に手を伸ばす

今なら、モーパッサンの短篇小説の

拳銃自殺をした男の気持ちがよくわかるよ

弾の装填されていない拳銃をお守りのように撫でながら

僕は祈りにもならない祈りをつぶやく

妄りに神の名を口にしてはいけない

妄りに自身の救済を乞うてはいけない

妄りに過去の幸福に縋ってはいけない

それは全部おまえの首を絞めるだけだ……

そんなことはわかっている

そんなことはわかっているけど、もう保てないんだ

耐えられないんだ、だから

過ちの一つや二つ、見逃してくれよ

束の間の安寧でもいいから救済の一つや二つ、よこしてくれよ

俺は(こめかみ)に銃口を当てる、そして自殺を思う

自殺に必要なのは勇気ではなく衝動だ、と思う

明日は装填に必要な弾を見繕いにいこうか、と思う

祈りの弾丸

祈りの弾丸

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-02

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