祈りの弾丸
夜は青さを増していく、青すぎる夜が怖くて
僕は拳銃に手を伸ばす
今なら、モーパッサンの短篇小説の
拳銃自殺をした男の気持ちがよくわかるよ
弾の装填されていない拳銃をお守りのように撫でながら
僕は祈りにもならない祈りをつぶやく
妄りに神の名を口にしてはいけない
妄りに自身の救済を乞うてはいけない
妄りに過去の幸福に縋ってはいけない
それは全部おまえの首を絞めるだけだ……
そんなことはわかっている
そんなことはわかっているけど、もう保てないんだ
耐えられないんだ、だから
過ちの一つや二つ、見逃してくれよ
束の間の安寧でもいいから救済の一つや二つ、よこしてくれよ
俺は顬に銃口を当てる、そして自殺を思う
自殺に必要なのは勇気ではなく衝動だ、と思う
明日は装填に必要な弾を見繕いにいこうか、と思う
祈りの弾丸