『汚れる』

革新的な愛撫でアタシを
目覚めさせた罪なる者


『汚れる』


沢山の汚いものを見てきたの
でも決して染まることはなかった
それらとアタシは別世界で
重なることは有り得ないと

貴方と出会ってあの汚いものも
背中合わせで存在してたと気づいた
汚されるのは一瞬ね
貴方の所為で醜悪の仲間入り

はっきり言って迷惑なことばかり
なのに不思議な魅力にはぐらかされる
既に陥落したこの身に何ができるの
もっとアタシを従順にさせて

人をここまで落としておいて
どうして貴方は未だ高潔な横顔
藻掻くアタシが馬鹿みたい
残酷な指で顎を上げられる今も

身体の奥まで凍るようなキスで
地獄へ誘うその瞳のどこかに
愛なんて有り得ないものを探す
微かな希望を捨てきれず馬鹿ね

それでも何か温かいものが
愛ではなくとも存在してる気がして
貴方の唇を温めることに集中するの
いつかアタシの熱が移ればいい

悪魔のように死神のように
冷たく凍る指が少しずつ溶け
アタシの中にそれを見つけた時
貴方は逆に汚されたと気付く



「綺麗なままなんて到底無理よ」

『汚れる』

『汚れる』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-03-24

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