星空を奪って
“星を触って”
聞き違いだと想った
探していた、ひとつのこと
探していた、ひとつの答えを。
物語の主人公になりたくて
望まれる形で終わりを求める
筆先が変わってしまったかの様に
知らない性格を宿していく
沸々と沸き立って
飄々と立ち去って
このままじゃ誰にもなれないままで
早々と浮き立って
懇々と泣き噦って
このままを誰にも伝えられないまま
星を、触って。
誰も見たことがないほどに
灼熱と。焼け焦がすくらいの羨望で
その形が円では無いと知った時
魂とその輪郭が 感覚を表した
「表裏一体、魂魄零度」
負荷逆 壱度への足掛かり
空中を 導いて
わたしだけの英雄。
泳いで月を目指した
その次はどこを狙って動く
あくせくと慌てたわたしだけを
君は刺す
君は 刺していく
ぼろぼろに崩れ去った体に
誰かが残したメッセージ
「君が君である間は
わたしはわたしを保っているから」
碌でもない優位性が
つま先を亡くしたわたしを責め立てる
君は何にもなれないんだと
癇癪を起こすわたしが情けなくて 情けなくって
あまねく、普遍たちへ
詳らかな願い事
炎熱と。知らないことだらけの海の上
触感だけが媒体を支えていた
朽ちていく躯体を震わせて
「表裏一体、魂魄傾斜」
不可視化 弐度への足掛かり
残響に 伴って
さからえない英雄。
水面から顔を出した
苦手なことも
得意なことも
ひっくるめて持ち運ぶ
運命に寄り添えないのなら
ひとにぎりの命をあげる
わたしの、命を
わたしと、命を
嗚呼、星を、触ってーー
“星を、触って”
誰も見たことがないほどに
灼熱と。焼け焦がすくらいの羨望で
その形が円では無いと知った時
魂とその輪郭が 感覚を表した
「表裏一体、魂魄零度」
負荷逆 壱度への足掛かり
“空中を、呪って”
覚醒した脳を起こしたのは誰
口腔に。残る熱砂 灰色の眦
追贈する消耗を促して嗤い合う
魂に最も近い模造刀が身を抜いた
「氷雪一殺、魂魄憑依」
不可視化 千度への肌触り
わたしだけの英雄
わたしだけの、英雄
星の奪い方を 教えてくれた
わたしだけの英雄。
星空を奪って