淋しがり

君と駆け抜けたあの森はとても寂しかった
寂しくて心もとなかった
話すこともなく ただ黙々と走って
あの頃、僕たちは何が欲しかったのだろう

確かなものであれば何でもよかった
確かなものでないのなら何も要らなかった
僕たちはわがままだった
わがままなふたりが話すこともなく
寂しい森を駆けていた

あの時、僕たちは一度でも空を見上げただろうか
鬱蒼と生い茂った森の
覆い被さるような木々の枝の隙間から
そこに必ずあったはずの青い空を

淋しがり

淋しがり

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-03-20

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