令和7年3月の一言


公園の樹々の風の調べに 日常を忘れ日々を知る
葉のその音こそが日常たるべし
然うでも言へたら夢の如し
光は儚し 朝日は遠し 丸で明日は昨日の如し
心に潜む何れかの野心 訊ねてみれども音沙汰は無し
胸の内には世界を秘めつつ 目に見る世界は無味無臭
明日はいづこへ 問ふまでもなく
昨日はいづこへ 訊くことはなし
春の歓迎 花吹雪なし
しがない草が勢へるのみ
空と世界が開かれても尚 雑多の街が地平を遮る
スズメはどこかへ行ってしまって カラスが誰かのお仕事を増やす
帰り着く巣で独り昂ぶり ゲームに耽るただその時だけ 世界はきっとどうでも良くなる
あてなく独りで性を遊ばせ
情けないほど時間を費やし
果ててしまへば何でもないよな
騙されたやうなただその時だけ
世界はきっと大した事なし
時の笹船
思慕の幕切れ
憂鬱の嘘
先天の夢
生きとし生ける者たちへ告ぐ
我の肉身を借りる勿れ
そちらはそちらで 良きやうにして
伝へることだけ 伝へてくるやう
今に 切に 偏に願ふ
事の始めは心の瀬から
ただ少なくとも それらではなく
いざなはれては 何かに惹かれて
どうしやうもなく 一歩踏み出す
顔を上げて 夏の遠雲
秋の赤葉に 懐かしの冬
再び我を 待ち侘びて居る
その懐に お応へするのみ

令和7年3月の一言

令和7年3月の一言

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-03-20

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