『刹那主義』

常識をかなぐり捨てて
アタシが掴んだものは


『刹那主義』


あの子を思い出すから
煙草の匂いは嫌い
好きだなんて口だけね
本当は何の感慨もない

欲しいから手を伸ばしただけよ
それの何が悪いの
今となってはハイビスカスも
古ぼけた思い出でしかない

余りにも常温だから
そこに居る時は気付かない
濁った水に浸かっていても
汚れていることすら分からない
こんなに汚くなって
初めて遠くに来たと気付く

純朴で従順な女が好みなら
アタシには手を出さないで
こういう汚れ物に手を出す時は
本音は上手に隠してね

煙草の匂い
細い首すじ
ピンクの髪
あの子が持っていた全て
あれはどうして魅力的だったの
あんなにも汚れて尚
輝こうと躍起になれたの

アタシなら望まない
普通の幸せなんて
烏滸がましくて笑っちゃう
望んじゃ駄目なんだよ
アタシたちは幸せにはなれない



「あの時は別にそれでもよかったの」

『刹那主義』

『刹那主義』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-12-02

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