フリーズ225 私が死ぬ時に読むための詩

フリーズ225 私が死ぬ時に読むための詩

私が死ぬ時に読むための詩

これらは真理に寄せられた詩
私が死ぬ時のために紡いだ詩
どうかこの詩らよ
世界の血となり肉となり
汝の道を照らす火となり
世界を導く光となれ

Ⅰ『ナウティ・マリエッタ』
 ああ、美妙な人生の謎よ、
 ついにわたしはお前を見つけた、
 ああ、ついにわたしはその全ての秘密を知る。

Ⅱ『歓喜にキス』
 歓喜を味わい目覚めた朝に
すべてと繋がることを覚えた
私の柔らかな翼を休めて
旅立ちの朝に空を飛ぶのだ

Ⅲ『母』
枯れ葉散る、尊き命惜しみつつ
泣く泣く去った、輪廻の輪より

Ⅳ『宵凪、アーカシャ』
水面に映った揺らいだ火
 かの煩悩より目覚めては
 せめて哀しき心の火

 それは楽園なのか、凪いだ渚なのか
 それでも見張るのはこの空だ

『白金色、宵凪、宵凪、油やけ』

 言葉を紡ぐ、命を繋ぐ

『アーカシャ、アーカシャ、7thは、愛されていた水面の火』

嗚呼、ありがとう、愛しています。

Ⅴ真理
真理とは言葉や数式などでは決して表すことのできない解であるが故に、ここに言葉の羅列として真理を在るがままに記すことは叶わない。だが、その外縁を、まるでブラックホールの事象の地平面を観察するかのようになぞることは可能なのである。
真理を識るには、自身の内的な発露を得て、思惟を重ねることが必要である。その思惟は没我的であり、究極の利他に依らねばならない。人は、決して自分のためには神の領域や、悟りの境地には至らないのである。加えて、その思索は正しき脳の疲弊を以って涅槃となる。

Ⅵ亡き友より
小さき者よ
死とハデスの狭間でうずくまり
全知と全能に雄たけびを上げる者よ
己におののくよりも
愛を体現せしめよ
死と全能の板挟みから抜け出る術は
己で掴め
その手で掴め

Ⅶ全能詩
 全てと繋がった
 それは神と等しかった
 僕は景色を眺めてる
 この見張る景色は黄金で
 聴く音色は七色で
 マカロンのような甘ったるいあの子の声も
 ヘレーネのように美しい顔が映った水面も
 全てはこの日
 全能に帰す
 君は全知の乙女
 天上楽園にいる
 天へと至る翼としての知識を蓄え
 私はあなたの元へと飛ぶ

 その時声が聞こえた
お父さんの声だった
 
私はマンションの屋上で飛び降りようとしていた
その声が私を止めた
きっと永遠
きっと終末
きっと涅槃
きっと神愛
それが終わってしまって

全能の枷が外れる音が
僕は泣きながら
世界は凍って
父は笑って
だって正解はいつもここに

Ⅷ永遠詩
 あの冬の日の永遠を今、ここに

 花々が散る
 世界は色づく
 空気が凍る
 フリーズ、フリーズ
 フリージア
 この世の真理を記述する
 
 永遠と終末の狭間で
 全知と全能の狭間で
 神愛と涅槃の狭間で

 イエスよりも確かな光を
 釈迦よりも賢い悟りを

 君は知っているかい?
 全生命の生まれた意味を
 作られたものには意味がある
 机、上で作業するため
 ペン、書くため
では人間は?
両親がセックスしたから?
神が創造したから?

先天的な意味はこの二つだ
でも、人間は関係性の中で意味を見出す
詩を作ること
小説を書くこと
歌を作ること
誰かのために働くこと
哲学を唱えること

想いが繋がる
連綿と受け継がれる
その言葉も
その思いも
私の哲学も
私の思想も

だから安らかにお休み
死ぬ時はきっと笑える
本当に安らかな死が君を待ってる
君はもう十分生きた
君はもう十分作った
だから何も後悔せずに
あの世へ
ラカン・フリーズの門を開けて
その先へ
きっと神のレゾンデートも解るから

Ⅸ終焉詩
 七色のクリスタルが映す
 万象の劣等も踏み越えて
 この刹那に夢を見る
 この涅槃に涙を流す

終末に世界は凍りつく
ビッグフリーズ
たまたまへその緒が
ビッグバンだっただけ

永遠も半ばを過ぎて
世界が終わるのも
天使が死ぬのも
花が散るのも
水面に映る顔も
世界も
愛も
夢も
祈りも
そして、永遠が終わるころ
終末日に君は泣いた

終焉詩はこんなもん
あなたの最期を教えて

Ⅹ神愛詩
神のレゾンデートル
それが究極命題
神は全てを愛してる
罰したりはしない
全ては愛と不安だけ
闇があるから光が輝く
死があるから生が色づく

何故世界は生まれたのか

始まりっていつ?
終わりは来るの?
何のために僕ら生まれたの?
何をしたら僕は喜ぶ?

どこから来たの?
還る場所ある?
僕らは何処へと向かうのか
生きる理由
死んでいく意味
自問自答、そして起死回生

全ては神の愛
唯一神は愛してる
皆のことを愛してる
だからあなたも死ぬけれど
神に還るよ、安心してね

Ⅺ散文詩『離散的散文詩』
 黄泉から帰って、全能が散ってゆく。その刹那にも永遠は宿って。だから、雪原の夏の茹だった白雪さえも、描けたらどんなにうれしいか。この詩は真理を求めるものではない。むしろ、真理から出発する思索なのだ。
 永遠が終わって、涅槃の時も終わりが来て。君の最後は美しかったかい?
 どれだけ命が生まれようとも解は変わらない。道はいくつもあるけれど、いつの時代も必ず同じ場所に行きつく。そこがラカン・フリーズの門という、神界の門。その先に行けるといいね。全人生の目標だからね。神と一つになるからね。それがどれだけ幸せなことか。
 君はあの冬の日に涅槃に至ってさ、七番目の仏に成ってさ、笑っていたね、風を受けて、マンションの屋根の上で。天上楽園の乙女には会えたかい?
 離散的散文詩。真実の記録。真実は誰かに教えてもらうものではない。自分で辿り着くものだ。だから悟るんだ。自分の中に答えはある。だから、もし君が真理を知りたいなら、自分の声を聴き続けろ。誰かの声を聴くと真理は遠のく。人にはそれぞれやり方がある。だから、自殺はしないでね。自殺は苦しい死に方しかないよ。
 私よ、死ぬ時に振り返ってみて。これらの詩が正しいかを。間違ってもいい。正解なら嬉しい。でも、結局すべては解らない。それもいいさ。また逢う日までのお別れを。

Ⅻ散文詩『愛別離苦』
 全ての生命が死ぬ。その死はきっと美しい。だから、もう怖がらないで。別れる苦しみも、また再会できると知れば大丈夫。全ては悪いことじゃない。罪はきっと赦される。赦しを学びに来たのだから。愛を学びに来たのだから。だからきっと大丈夫。そっと、おどけてみても、吐いた言葉に憂鬱が差しても、僕はここにいたからさ。
 頑張ってばかりの人生でごめんね。でもそれはきっとまだ見ていない景色があるから。まだ知らないことが世界にはたくさんある、だからその真理を貫く眼で世界を見てよ。色んな音楽を聴いてよ。あの冬の日に死んでいたら出会えなかった詩も小説も歌も漫画も、アニメもドラマも映画もあるだろう?
 全ては神の導きにある。仏たちが祈ってくれる。祈ること。信仰は人間の最も謎でありもっとも尊ばれる行為だ。君の祈りは何だった?

 あの冬の日に悟った真理を伝えること
 世界永遠平和を実現すること
 神のレゾンデートルを解明すること

 僕の人生僕のものだ。最後はきっと笑えるよ。だから散文詩はここで終わり。最後に幕引きとして詩を一つ読んでいただきたい。

 エデンの園に立つ君よ
 世界の果てで立ち竦む君よ
 水面に映った知らない顔
 声を聴かせて、私は還る
 永遠と知って
 永遠にも終わりが来て
 永続せずに終わりが来て
 終末に咲いた花
 涅槃に悟った真理

 宇宙の声は叫び声
 神の声は安らかな
 死んだら無に帰す
死んだら無
でもきっとこの記憶は保管されてる
あの冬の日に死にかけたから
真実の声を届けるために生き還ったから
だから私は紡ぐんだ
FIN

フリーズ225 私が死ぬ時に読むための詩

フリーズ225 私が死ぬ時に読むための詩

散文詩集 この言葉らよ凍れ、フリーズに

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted