zokuダチ。セッション13

エピ 49・50・51

レトロゲームの世界で・1

今日はダウドがジャミルの部屋に面白い物を持って来る。
懐かしのオールドファミコン。今、レトロゲームブームで
ソフトの中古値段が葛藤している。又、闇鍋福袋で当てたらしい。

「……ふーん、珍しいな、どれ、ソフトはあんのかよ」

「中古品で、一つだけおまけについてた、裏に名前が書いてある、
やまだたろう、だって」

「どうでもいいよ、……グーニーズ2ね、ま、いいか」

早速、テレビにファミコンを繋ぎ、ソフトをセットする。
……しかし二人は忘れていた。この話では絶対に碌な展開に
ならないのを……。案の定、無理矢理ゲームの中に吸い込まれた……。

「おーい……、って、何処や、此処……」

「フハハハハ!」

「!?」

突然、ジャミルの前に巨大なモニターが映し出され、中には
厚化粧の赤髪のオババが。

「……ダレガ オババダ!グーニーズ ショクン、ヨクモ、 
オレタチ イッカヲ ロウヤニ ホウリコンデ クレタナ!!」

「知らねえし!急に2からだし!」

「コノオレイトシテ オマエタチノ ナカマ ニンギョノ 
アイシャハ オレタチガ アズカッタ!!
……カエシテ ホシクバ、ワレワレノ アジトマデ 
ヒトリヅツコイ!!ハッ、ハッ、ハッ!・ ・ ・」

(台詞うろ覚え)

「あ……」

モニターの中のギャング・オババーラ一家のボスが喋るだけ喋ると
映像が途切れた。

ピーッ……

「な、何だ?トランシーバー?こんなの……」

『……あのさ、ジャミル、オイラだけどさ……』

「ダウドか……?まあ、考えたってお前しかいないよな……」

『……何かさ、今、捕まっちゃったんだよね、どうやら、
このゲームクリアしないと元の世界に帰れないみたいだよお……、
だからっ、早く助けに来てよね!んじゃ!』

「……早速捕まってんじゃねえよ、たくっ!」

怒りながら、正面にあった扉を抜けると、汚い屋敷らしき場所に辿り着いた。

「別に、あんさんに恨みはないんやけど、死んでもらいまっせ!
ちなみに、ワイが大活躍のキャプテン2、絶賛連載中やで、応援
よろしゅう!」

「……おい、さりげなくこの場で宣伝してんじゃねえよ!このデブ!」

いきなり、歯の掛けた図体のデカいギャングが襲い掛かって来たが
取りあえず、持っていたヨーヨーで試しにデコを撃ってみると。

「……あてっ!」

ギャングは一撃で、後ろにひっくり返って倒れて死んだ。
……が、すぐに復活し、逃げて行った。

「何だよ、身体の割に根性ねえなあ!」

彼方此方に見えている扉に入りまくり、ハンマー、キーホルダーなど
次々とアイテムを回収して行く。

ピーッ……

と、又誰かから、トランシーバーで通信が入ったらしい。

『あの、……ジャミル?』

「アイシャか!?今、何処にいるんだ?」

『……私、自分の部屋で、エレンに貰ったサンドバック
叩いてたら……、急に違う処に来ちゃって……、いきなり
人魚の姿になってて、う~……、それで、……ふ、ふぇぇぇ……、
何で古典的人魚の胸にお星さまなのよっ!!』

「分った、分ったからっ!すぐ助けに行くからっ!待ってろや!
てか、……胸、ねえのになあ……」

『……早く迎えに来てよっ!もう何がなんだか分からないのよっ!
あと最後、余計な事言ったでしょ!……ジャミルのバカっ!』

ピ~……

通信はそれだけ只管、最後は罵声を伝えると、途切れた。

「……あいつの事前の行動が怖しいなあ~……、何が何だか
分からんのは俺も同じだっつーの……」

次の扉に入ると、行き止まりであったが。

『……きこえますか?壁をハンマーでドンするのです、
……きこえますか……?』

いきなり謎の声が頭に響いたので、ハンマーで扉を叩いてみると、
隠し通路が出て来た。

「あ!ジャミル、助かったああ~、早く此処から出してよお!」

部屋の奥に、牢屋に閉じ込められているダウドがいた。

「間抜けだな、お前、立場的にそういう役割になるか……」

「いいから早くしてよお!」

持っていたキーホルダーで鍵を開ける。

「はあ、助かったあああ!あのね、オイラの他にもまだ後5人、
捕まってるみたいなんだ、全員助け出さないと、最後まで
行けないみたい、んじゃ!」

「おい、ちょっと待てよ!何処行くんだよ!?」

「ん?出番終わったみたいだから、オイラはこれで元の世界に
帰れるの、じゃっ!」

ダウドはジャミルを置いて、さっさと姿を消した。

「薄情なヘタレめえ~……、今に見てろ……」

マップがやたらと広い、表ルート、裏ルートとと、
ジャミルは無造作に言ったり来たりで疲れて来ていた。
途中で手に入れたパチンコで、倒しても倒しても何回も
出てくる歯掛けギャングを撃ちながら、あっち行ったり、
こっち行ったり……。

「……マジで疲れたな、ちょっとこの部屋で一休み……」

「よくぞ来た!ここはワープの部屋よ!!……でも、此処を通るには
イケメンの男を連れて来ないと通さないわ!!」

「おい、オメー、何してんだよ、んなとこで……」

ワープの番人は、ミーハー女、美奈子であった。

「んな事言われてもなあ、……てか、俺がいるじゃん」

「あーっはっはっ!御冗談をーっ!アンタなんか問題外だってのよっ!」

ジャミルは無言でさっと、ハンマーを取り出す。

「キャーッ!それで乙女を殴る気っ!?へんたーい!
サドーっ!いやーん!」

ばしっ!

「……ハア、ご、ごめんよ……、ウチの美奈子が……、
で、でも、此処を通るには、このアホにいい男を渡さないと
通れない様になっているんだ、ゲームのシステム上……」

「アルテミスーっ!アンタよくも叩いたわねーっ!」

ジャミルの代わりにアルテミスが美奈子を後ろからハリセンで一発叩いた。
こうなると本当にイケメンを連れてくるしかないので、仕方なしに
一旦その場を離れる。そして、何故かウロチョロしていたグレイを
後ろからハンマーで殴って拉致、捕獲。先程の部屋に入りそのまま
美奈子に手土産として渡す。

「……貴様……、後で覚えていろっ!……う、うううう……」

「グレイさあ~ん、ん~、美奈子がちゅっちゅしてあげま~す!ちゅ!」

美奈子に迫られ、……全身蕁麻疹状態のグレイ、泡吹いてコロっと気絶……。

「わりィな、……お前の犠牲は忘れねえ……、んじゃ、そゆ事で!」

「……美奈も外道だけど、ジャミル、君も外道だ……、とほほ~……」

ジャミルは肩を落としているアルテミスを尻目に、さっさと奥の扉から
別ルートへと逃げた。さらに先のルートへと進み、別の扉を開きまくって
手当たり次第中に入ると、今度は座布団の上に正座し、特に意味もなく
冥想している猿……、イガラシがいた。

「何ですか?用がないなら早く出て行きなさいよ!」

「……」

ジャミルは無言で本日3度目のハンマーを取り出す……。

「……ロウソクあげますからっ!早く出てって下さいよっ!!」

「ちぇっ!……クソ猿め……」

外に出て、どうにか休憩出来そうな別の扉を探し回る……、と、
又、トランシーバーで誰かから通信が入った。

『……ちょっと、ジャミルっ!僕だけどっ!』

「……やっぱり……、アル、お前かあ~、で、今何処だ?」

『それが分れば苦労しないよ!いきなり牢屋に閉じ込められてさ、
いい迷惑だよ……、一つだけ、状況が分るとすれば、凄く寒い!
それだけ!』 

……ピ~……

「……あいつ相当ブチ切れてたな…、けど、俺が悪いんじゃねえやい!」

次の扉に入ると、真っ暗で周囲が何も見えない。

「ロウソク、付けてみるか……」

タバコ用に所持しているライターでロウソクに火を付け、周囲を照らす。
周りが明るくなり、扉が二つ見えた、試しに、正面の扉に入ってみると。

「!!!」

「オウ!ヤア、ボクハ、〇ナミマン二アラズ、……ドナルドマンダヨッ!!
キミノライフヲカイフクシテアゲルヨ!!オウ!ティ~ンティ~ン……」

……下半身、〇ン全開の……ピエロがジャミルに迫って来た……。

「いーらーねええええっ!!」

ハンマーでピエロをブン殴って、とっとと部屋を退散したのであった。

「……次の扉は……、頼むから、何も出て来ませんように…」

祈りながら、別の扉を開くと……。今度は違う場所に出る。

「……!?な、何か……、急に寒くなった様な……」

扉の先は、極寒の氷雪地帯、ゲーム上で言うと氷ルートであった。

「……ォアアアアアーーーーーーーーー!!」

「ちょ、……アンタ誰?何やってんの……?んなとこでさ……」

「……意味は無い、ただ、このゲームの役柄の立場上……、
此処は通さぬ……」

氷の崖上に立ち、ジャミルを迎え撃つ奇怪な筋肉ムキムキの人物。
超サイヤ人モードのブロリーである。

「ま、待てっ!早まるな、あ、あ、……うわーーーー!!」

「ォォォォォーーーーーーーーー!!……ォーーーーーーー!!」

気合いを入れ過ぎたブロリー。氷が解けて、足場が崩れそのまま崖下に
落下して行った。……飛んで戻って来る気配もなし。

「多分、大丈夫だよな……?」

心配しつつ、……次の扉へ行き、ハンマーで壁を叩くと金庫が出てくる。
キーホルダーで鍵を開けると、今度はメガネが出てきた。

「メガネか、何かの役に立つのかな……、俺も頭良さそうに見えるかな……」

別部屋のブーメランも一緒に回収し、更に隣の扉を潜ると。

「?」

床にどうやら海底への穴が開いており、其処を通って何処かへ
出られそうであった。

「……この下にも通路があんのか、……生身じゃちょっと無理だなあ……」

今は諦めて、元来た扉を通り、一旦外へ出る。ブロリーはいなかった。
また出て来られても困るので、ジャミルは、此処の場所からさっさと逃げる。
漸く、別の方の氷雪ルートを見つけ、二人目の困ったちゃん、アルベルトを救出。

「はあ、……何で僕がこんな……、ジャミルっ!君……、
又何かやったね……!?」

「……知らねえよっ!バカダウドが福袋で当てたファミコンを付けたら
こうなったんだよっ!」

「何でもいいから、責任とって他の仲間も救出してくれる……?
じゃあ、僕はこれで……」

アルベルトは頭を抱えながら、フラフラと消えて行った。
相当疲れている様子。当り前だが。


レトロゲームの世界で・2

別ルートで、苦労して潜水服を手に入れたジャミルは、もう一度、
氷ルートに有る部屋に戻り、海底の隠し通路を進むのであった。

……ちなみに、潜水服入手時点ルートで、ちゃっかりと捕まっていた
緑バカを救出しているので残り、後3人である。ちなみにユリアンは
牢屋で平然と鼻提灯を出し、爆睡していたのであった。


「……うはあ、結構楽しいなっ!息も苦しくねえし!」

仲間を探すのも忘れ、呑気にちょっとしたダイビング気分である。
道中、襲い掛かってくるサメやタコなど水中銃で撃ちながら進み、
ゲーム感覚でスリルあるモンスターハントも楽しんでいる。

ピ~ッ……

「あんだよ……、もしもしっ!」

水中でも平気で、トランシーバーから通信が入る不思議。

『……ちょっと、ジャミルっ!アンタ何遊んでんのよっ!
早く助けに来なさいよっ!!このアホッ!!』

「エレンか?……何だよ、珍しいな、お前が捕まったのか……?」

『珍しいも何も、勝手に牢屋に入れられたんだから仕方ないじゃないのっ!
この鉄格子、蹴っても折り曲げようとしても何しても駄目なのよっ!!
……だからさっさと早く来てよねっ!!』

……ピ~……

「はあ、この近くにいるのかな、あそこにも扉があるけど……」

……ドナルドマンの所為で、ジャミルは扉恐怖症になりそうであった。

「……ふうっ!はあーっ、やっと着いた、此処にいてくれると
助かるんだけどなあ……」

一旦、潜水服を脱いでポイし、部屋の探索へと駆り出す。

「とにかく、このゲームの基本は叩くだよな、……叩け、叩け!
叩くべしっ!」

拳でガンガン、そこら中叩きまくると、何故かハシゴが出てくる。
ついでに特に意味もなく、他にも何か出ないかと更にハンマーで
ガンガン……。


……ちょっとっ!誰よっ!ガンガンガンガンうるさいわよっ!!


叩きまくると天井の方から、キャンキャンけたたましい声がした。

「その声、エレンか?」

「ジャミルっ?アンタ、来てんのなら早くしなさいよっ!この上よっ!」

「へえへえ、……よっと!」

天井にハンマーをブン投げて穴を開け、其処にハシゴを掛け、上へと登る。

「やっと来た!遅いわよもうっ!んじゃ、あたし帰るからね!じゃっ!」

忙しいと言う様に、エレンもさっさと退場し、その場から消える。

「ハア、後2人だよな……、たく……」

ブツブツ言いながら、もう一度潜水服を着用し、海の中へと戻った。

……そして、再び地上からあっちゃこっちゃ移動して周り、
別の屋敷ルートを抜ける。巡り巡った部屋の先に、又もワープの番人、
美奈子が待っていた。

「……ま~たお前か……」

「もうっ!グレイさん逃げちゃったのよっ!……早く捕まえて来ないと
この下の潜水ルートは通さないわよ!」

「んな事言ったってよ……、仕方ねえ、戻ったらアイドル雑誌
買ってやるよ、確か、今月の平凡は、月野源太郎のヌードピンナップが
付いてたな……」

「仕方ない、今回はそれで手を打ってあげる、さあ、通ってっ!」

美奈子は手をポンと打つと何処かへすっ飛んで行った。

「……何だあいつ……、はあ、んでもって、又此処潜るのか、いい加減で
風邪引きそうだわ……」

そしてついに5人目の拉致被害者、いろはを発見したが。牢屋の中で
犬こむぎと一緒に呑気におやつを食べていた。

「もしもーし、助けに来たよ、……おい、大丈夫か?」

「あ、ジャミルさん!もう、大変でしたよっ、お部屋でこむぎと一緒に
おやつ食べてたらいきなり牢屋の中に閉じ込められちゃってえ~……」

「わんわん!ひどいわん!こむぎ、ブーブーだわん!」

「……寝てる奴も凄かったけどな……、これも大物の毛が……、んで、
こむぎ、お前は犬か、ブタか……」

「……はい?なんですか?」

「なんだわん!?」

「おおうっ!?とにかく牢屋から出ろよ、もうお前らは元の世界に
戻れるからよ」

「そうなんですか、でも、ジャミルさんは帰らないんですか?」

「……戻りてんだけど、まだやる事があってよ……」

「そうなんですか~、じゃあ、私達帰りますけど、どうか気を付けて下さいね」

救出されたいろははこむぎを連れ、元の世界に帰って行く。
いろは達を見送ったジャミルはその場に座り込んで溜息を
つくのであった。

「……一服するかな、あ、もうライターが切れた、ロウソクで
終わっちまったか、……とほほ~……」

そして、海底から再び地上へ戻り、今度は溶岩地帯ルートへと進む。

「……これで、最後に捕まってるのが又グレイだったら草生えるっての、
プ……、牢屋にいたら笑える……、笑ってやる……」

しかし、最後の拉致被害者は、少年であった。人物的に、捻くれマンと
性格の悪さはグレイと同じ様な物であったが。

「……僕に構わないで……」

「そうかい、んじゃ構わないよ……、と言いたい処なんだが、
全員救出しないと俺も此処から出られねーし……、お前、ずっと
其処にいるか?」

「……今日は少しだけなら……、構って……いい……」

「はあ、んじゃさっさと出ろよっ、たくっ!」

「……」

少年は救出され、無言でその場を立ち去るのであった。


「……取りあえず、これで全員救出は出来たけど、後は肝心のアイシャが
何処に捕まってんだか……、んとにっ、良く捕まるお嬢さんだことっ!」

ピーッ……

と、再び、トランシーバーで通信が入る。

『……ジャミル?私、アイシャよ……』

「アイシャか?捕まってた仲間は全員救出したんだけどさ……」

『……ほんとっ、じゃあ、もう私の処まで来られる筈だよっ、今、ジャミルは
何処にいるの!?』

「又、違う屋敷ルートに来てる……、結構、裏の方の裏の……、
……うらうらうら?……訳分かんなくなってきた……」

『ジャミルの声、どんどん大きく聞こえてるから、
そんなに場所ももう遠くないよっ、あ、あのねっ!』

と、言った処で、急に通信が途切れた……。

「アイシャっ!?おい、どうしたっ……!」

「ハハハハハ!!」

……正面を見ると、黒服背広、サングラスのギャング子分を
従えたオババーラ一家が扉の前に立ち塞がり、ジャミルを見下し、
ニヤニヤ笑っていた。

「……相変わらず、化粧濃いなあ~……、香水の匂いもスゲエんだけど……」

「うるさいよっ!此処から先は通さないよっ!お前ら、やっちまいなっ!」

「そうか、その扉の先にアイシャがいるんだな!?」

ギャング子分1・2 まゆとユキ

「……あの、ごめんなさい……、私達……、何でこんな格好してるのか……、
良くわからないんですけど……」

「やれって言うのならやるまでだわ、覚悟しなさい!ジャミルっ!」

黒スーツに、黒グラサン……、のまゆとユキが第一の刺客……、
らしい。しかし、悪ギャング姿のまゆも、モジモジしていて
異様に可愛らしい。

「ま、待て!話せば分……、うわーーっ!」

「それっ!……食らいなさいっ!」

「おお?」

「……ボ」

ユキは特に意味もなくその場にいた、しんのすけ、……ボーちゃんを掴むと
ジャミル目掛け思い切りほおり投げた……。

「……ボオオオオオオオ!!」

「ーーーーおおおおおおおーーーーー!!」

しかし、ユキがほおり投げた有害物質はジャミルに当たらず、そのまま
何処かへ飛んで行った。

「……」

「私だって、たまには……、失敗する事だって……、あるわ……」

「……ユキ……、ねえ、もう帰ろうよ……」

「そうね、では、これで失礼するわ、帰るわよ、まゆ……」

「あ、ちょっと待ってよ、……ユキったら……、では、ジャミルさん、
お邪魔しました……」

「オウ、気を付けてな……」

ユキは、顔を赤くして、ブロンドの髪を掻き上げるとさっさと逃走。慌てて
まゆも相棒の後を追って走って行った。……一体何しに出て来たんだかの
猫屋敷コンビである。

「……次は誰?」

耳をちょいちょい、ほじりながらジャミルが聞いた。

「……ええいっ、役に立たないねっ、次だよっ!」

ギャング子分2・3 ホークとグレイ

「……てか、後ろの野郎……」

「わりィな、ジャミ公……、別に特に意味もねえんだけどさ、
……取りあえず、おめえをシメとかねえと、バーバラが怖ええんだわ……」

「貴様、さっきはよくもやってくれたな、……覚悟しろ……」

「ええいっ!俺だってアイシャを助けて、絶対にこのバーチャル世界から
出なきゃなんねーのだわ!来るならこいっ!!」

ジャミルが構えると、グレイとホークは銃を向け、ジャミルに
じりじり近寄って来た。

「ジャミルっ!」

「……え?あ……」

ジャミルが後ろを振り返ると、先に帰った筈の仲間が全員戻って
来ていたのであった。

「お前ら……、何で???」

「……アンタがもしもドジ踏んで失敗したら、アンタだって
元の世界に戻れなくなんのよ、だからあたし達もわざわざ
戻って来たの、加勢してあげるわ……!!」

エレンが指をポキポキ鳴らした。

「ちゃんと、戻って来てあげたよお~、ジャミルー、オイラ偉いでしょっ!」

「うるせー!馬鹿ダウド!元はと言えばオメーがだなっ!!」

「ジャミル、此処は僕らに任せて、早くアイシャの処へ……!!」

「アル……」

「よーし、犬飼いろは、たまには暴れちゃいますぜ!こむぎ、行こう!」

「あばれるワンーーっ!」

「……僕に構わないで……」

「zzzz……、ぷう……」

「……寝てんじゃねえよ、この緑バカっ!!戦えっつーの!!」

「……うわぎゃーーっ!!」

エレンのエルボー、ユリアンに炸裂。

「くそっ、仲間を連れてくるとは……、卑怯だねっ!!」

「……どっちがだよっ!!」

「いいから早くっ、ジャミル行きなさいよっ!!」

巨漢のホークを軽々とジャイアントスイングでブン回しながら、
エレンが叫んだ。……もう、あいつ一人でいいんじゃないかな……、
状態である……。

「……みんな、有難う……、お前らの死は無駄にしないよ……」

「「……死んでねーっつーーの!!」」

仲間全員が、一斉に声を揃えた……。


…そして、扉の先の、最後の海底ルートを通り、ジャミルは
アイシャの元へと急ぐのであった。遂に、アイシャが捕まって
いるであろう、扉の前へとたどり着く。

「……此処だ、この扉の向こうに……、アイシャが……、アイシャーっ!!」

急いで扉を開けると、水槽の中に捕えられている
人魚アイシャの姿があった。

「……ジャミルっ!来てくれたのね!!」

「待ってろ、今出してやるからな!!」

水中銃で水槽を破壊し、アイシャを救出する。

(……俺の、俺の青春が……、今度こそ始まるのかっ!?)

「あはっ、……ジャミルーーっ!!」

「アイシャーーっ!!」

……やっと、やっと又会えた二人は、心からの再開を喜び、抱擁……


STAGE CLEAR 


「……え?」

「は……、はやっ!ちょっと待てよ!エンディングはよ……!?」

……する間もなく、身体が輝きだし……、間も無く、
2人も他の皆も……、ジャミ公のゲームクリアで完全
終了の為、全員、元の世界にきちんと返された。

「……ちーーーきーーーしょおおおおおーーーっ!!
……またかよおおーーーっ!!」


……それから、数日後……。

結局、ファミコンは、謎の危険物体という事で、
質屋に出されたのである。


ジャミル、カツラが外れなくなる

「……ジャミル、まーた寝てばっかり!もう10時だよっ、
起きなさいよっ!!」

アイシャがジャミルを引っ張って起こしに掛る、前回の話からジャミルは
疲れたのか本当に寝てばっかりであった。

「……うるせーな、俺はオメーの為にあっちこっち走り回って
筋肉痛なんだよ……」

「そう、でもジャミル、昨日からずっと社会の窓……、全開だよ……」

「!!えええ、う、うそっ!?」

「……うっそだよっ!」

「おめえなあ~……」

「うふふ、でも目が覚めたでしょっ、さ、起きよう!」

毎度の事ながらアイシャに無理矢理起こされ、ジャミルは仕方なしに
部屋の外に出る。

「……ふわあ~……」

「それにしても、この時間帯って平日は本当に静かだね……」

……また突っ込みどころ満載だが……、取りあえず、学生さん達は
平日は此処からそれぞれの学校に通い、しんのすけも幼稚園、
父親の野原ひろしは会社とマンションに残っているのは、皆元RPG
出身系の人間、獣……、と、専業主婦のみさえ、娘のひまわりだけである。
なので夕方まで非常に静かなのだった。

「あっ、ジャミル、何してんの?二人でどっか行くの?」

ダウドが廊下でウロチョロしており、ジャミルを見つけると走って来た。

「別に何処も……」

「そう、あっ!昨日ね、又福袋買ったんだ、おすそ分けあげるよお!」

ダウドは福袋ギャンブル依存症になりそうであった。毎日夜間の販売を
楽しみにしている様であったが、余計な物を当てる度にジャミルに
押し付けようとするのでその度迷惑していた。

「今日はなんだよ、売れるモンなら貰ってもいいけど……」

「それだったらジャミルに渡さないよお!」

「……こいつ……」

「はいっ、ウイッグ!お出掛けの時に被るといいよ!」

「……大銀杏のカツラ……、この野郎っ!!なめてんのか、ああっ!?」

「何だよお!ジャミルに似合うと思ったからあげようと思ったのに!!」

2人は廊下で揉み合いの喧嘩を始める。決して本人に悪気はないのだが、
時々ダウドはジャミルに対して天然行動を見せる時がある……。

「おいおいおい、何してんだ?喧嘩は良くないぞ、止めたまえ、君達!!」

と、其処に……、更に天然のラグナが通り掛かった。

「げ、原因は……、それみたいなんです……」

アイシャがおずおずと、大銀杏のカツラを指差した。

「?おおっ、いいねえこれ!ふんふん、ふ~ん……」

「……アンタ、本気でそう思ってる?……欲しけりゃ貰っていいよ……」

「本当に?んじゃ、これ貰ってくよ!ふんふんふ~ん!いいね、いいね!
今度の週刊誌の記事に書こうと思うんだ、流行の最先端、大銀杏ウイッグ!
流行る事、間違いなしっ!!」

「……」

ラグナは自ら率先して、大銀杏のカツラを被ると何処かに消えて行った。
だがその後、どういう訳か……、マンション内で空前のカツラ、ウイッグ
ブームが起こり出す。して、数日後の事。タバコを買いに行こうと外へ
出ようとしたジャミルに客が。

「ジャミル、いる~?」

ダウドがいつも通り勝手に部屋に入ってくる。早くヤニを吸いたいジャミ公は
外出を妨害され、ちょっと不機嫌になった。

「いるんに当たり前だろが!……それより、何だよ!俺はこれから
外出なんだよ!」

「どうせまたタバコでしょ、何時だって買えるじゃん、ねえねえ、これ、
また福袋で当たったんだあ!あげる!」

「……おい」

ダウドが持って来たのは、先端がとがっていて異様に長い、
リーゼントのカツラ。

「やめろっつんだよ!!、これ……、先端の部分の長さが通常の倍以上
あるじゃねーかよっ!!」

うっかり下手すると、他人に突き刺さりそうなぐらい、本当に長い。

「……ツッパリリーゼントカツラだよお!ジャミルに似合うと思ってさあ!」

「この野郎!お前が先に被れっ!」

「やだよお!ジャミルだから似合うんじゃないかあ!」

二人はいつも通り、掴み合いと取っ組み合いの喧嘩を始めた。
しかし、ダウドが隙を見て持っていたカツラをジャミルの頭へ
すっぽり被せた。

「……あ、あうう……」

「ぎゃははははは!!オイラの勝ちだあー!」

〔げんこつ〕

「……いだあああ~っ!!」

「はあ~、最悪だよ、碌な事が……、あれ……、あれ……?」

「……ど、どうしたのさあ!?」

ダウドが心配して、急に蹲ってしまったジャミルに近寄るが。

「カツラが……、外れねえ……」

「えっ、……えええええ……!!」

……深夜。

「……出ねえぞ、俺は此処から……、ぜーーーったい、出ねえかんな!!」

頭から手拭いをすっぽり被り、部屋に引き籠ってしまったのであった。
しかし、先端の部分が長すぎるので……、手拭いを被っても、完全に頭部が
隠れず、かえって異様な姿になっている。ダウドは流石に責任を感じたのか
部屋に戻らず、ずっとジャミルの部屋にいた。

「しかし、まいったな、コレ……、な・ん・で・っ!外れねーんだよっ!!」

「ジャミルぅ~、ごめんよお~、オイラこんな事になるなんて
思わなかったんだよお~、ほんの悪ふざけのつも……、ぷ……」

「……」

ジャミルはジト目で謝っているダウドを見るが。……明らかに自分の方を
見てダウドは笑いを堪えているのが分った。

「……ダ~ウ~ドおおお!テメー本当に反省してんのか!?
何だその目はよっ!」

「そんな事言われても、このタレ目は生まれつきなんだよお~!」

「……たくっ!」

ジャミ公はふて腐れ、床にドスンと寝転がる。ふと、目に付いた、
出しっぱなしで仕舞うのを忘れていた、今週号のエロ週刊誌……。
表紙のグラビアアイドルのお姉さんと目が合う……。

「……ジャミル?」

「そういや、最近立ってねえんだよな、不調かな……、えへ、えへ、
えへへへ……」

ジャミルはアヘ顔になったまま、そのまま寝てしまう。夢遊病の中で、
頭の中はピンク色の靄になり……、ぽやぽや~と。

「ほええ~?……にへええ~……」

「うわ、ジャミルっ!どうしたのさ!しっかりしなったらあ!ねえっ!」

ジャミルは聞こえて来た声に反応し、目を覚して立ち上がり自分に
必死に呼びかけるダウドの方をじっと見る。……寝ぼけている
ジャミルにはダウドが……、こう見えているのである。

「ジャミル……、だ・い・て!……あっ、はあ~ん!!」

すっかり幻覚が見えてしまっていた。全裸のアイシャが……、
迫って来る様に。

「……」

「……ハ、ハアハア……、う、うう~、アイシャーーっ!!
い、一発やらせろーーっ!!」

「ちょ!ジャミルっ!やめてよおおー!やめろったらあーー!!
あああーーんっ!!」

一体こんな夜遅く……、何をしているんだの光景であったが……。
幻覚を見ているジャミルにはダウドが全裸のアイシャにしか見えていない。
しかもやめろと叫んでいる割にはダウドも顔が嬉しそうなんである。しかし、
ダウドは危機感を感じ、迫ってくるジャミルのあそこを思い切り
反射的に思い切り蹴ってしまった。

「……うきゃーーっ!!」

「!!あっ、ご、ごめん!大丈夫っ!?」

ダウドは倒れたジャミルに慌てて駆け寄る。


す、ぽーーん!!


「……は、外れた……」

ジャミルが倒れた瞬間、どうやっても外れなかったカツラが漸く
頭から外れた。……と、同時にジャミルも我に返る。どうやら夢から
覚めた様子。

「何だったんだ、畜生……、頭いてえ~……」

「ハア、ストレスの所為かもね、ジャミルだって管理人として、
色々あるもんねえ~……」

「……なろおっ!」

ジャミルは週刊誌を思い切り床に叩き付ける。結果的にカツラが
外れたのも、多分、夢遊病の中で興奮した結果の精発情効果の
所為である……。

「はうあ~、もう、どうなる事かと思ったよお~……、ンモ~、
冷や冷やさせないでよお~……」

「うるせーこの野郎!……よお~し、ダウド、今度はオメーに被せてやるっ!
……頭出せーーっ!!お出し~っ!!」

「ごめんよお~っ!オイラ反省……しませ~んっ!またやるよお~っ!」

ジャミルは既に深夜になっているにも係らず、カツラを片手に
ダウドを追って部屋の外に飛び出し、他に眠っている住人の
迷惑顧みず解放廊下をドタドタ走り捲るのだった……。

zokuダチ。セッション13

zokuダチ。セッション13

SFC版ロマサガ1 トモダチコレクション キャプテン まほプリ ロマサガ3 FF9 わんぷり FF8 コードネームはセーラーV クレしん メタルギアソリッド クロスオーバー バカ どんどん増える 変な住人 カオスな世界

  • 小説
  • 短編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-14

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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