記録の部屋で

本棚
沢山の本
前にも後ろにも本棚の列
ここはどうなっているのだろう
視点を上げてみよう

ぐーんと視点を上げて
その本棚の空間を
見下ろすように眺めてみる
とても広い空間
本棚の列ばかり
巨大な図書館のよう

元の位置に視点を戻す
誰もいないのかな
こんなに広いのに

すると視え始める
そこかしこに
本を手に取る存在達
本を探している存在達
かなりたくさんいる
透けているように視える

同じ場所に
重なるように存在していたりもする
透けている感じなので
すれ違う時も
体の一部が重なっていたりする

そもそも
お互いの存在を気にしていない

あぁそうか
ここは其々がアクセスして
必要な情報を得ている場所なんだ
其々が其々だけの空間として
存在している
必要であれば
必要な存在と交流できるのだろう

一人の存在に意識が向いた
その存在を見つめていた
すると
その姿が
透けていた状態から
はっきりとした色形になり
そこに存在するようになった

本を読んでいたその存在が
顔を上げこちらを向いて微笑んだ

「やぁ」

記録の部屋で

記録の部屋で

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-26

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