『硝子の靴』

躊躇う素振りもなく
あの子を手にかけたのね


『硝子の靴』


浮ついた好奇心で
貴方が手にしたそれは
決して許されない虚偽
叶わないから綺麗なのよ
手に入らない星を眺めるようなもの

マリリンは愛を完結できなかったから
あんなにも美しいの
不均衡なヒールでモンローウォーク
だからあんなにも悲しいの

落としたものを
落としていないと言うのは
酷く簡単な嘘で
それで上手くいくなら構わないけど
何だか寂しいわ
何だか物悲しい

口元の黒子がいいと
貴方以外は言うのだけど、どう?
胸の二つの黒子も
貴方以外は褒めるのよ

何もかも意味ありげに
目配せも忘れない
長い睫毛を伏せて
「貴方を愛してる」振りをする
アタシはアタシを演じきる



「本当に愛してしまったらどうするの」

『硝子の靴』

『硝子の靴』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-25

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