『放課後下駄箱前にて』

赤いリボンを
キュッと締める


『放課後下駄箱前にて』


制靴が革靴なのは
正義だと思うの
君の声が少し掠れて
アタシの耳が赤くなる

ここから職員室を見上げれば
世界なんて単純に思わない?
きっとアタシたちの方が
先生を支配しているの

心は自由だから
誰にも操れはしない
だからこそ君は
こんなにも先生に恋をする

誰かに迷惑をかけてでも
欲しいと手を伸ばす
その姿をアタシは
ただ羨ましいと思うんだ

そんなに欲しいものなんて
別に有りはしないから
誰かに必死になれたことが
一度もないから

君は眩しいけど
君を欲して手を伸ばすことは
有り得ないと解ってる

先生の言葉をずっと
胸の中で繰り返してた
「父親になってくれる男はいない」
そうかも知れない
そうだとしても



「放課後は永遠に続く儀式ではないから」

『放課後下駄箱前にて』

『放課後下駄箱前にて』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-20

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