更地

壁がなくなり大きな空間ができる
そこに宿っていたもの達が混じり合う瞬間
外壁を剥がされ素通しとなる
外へ漏れ出る少しずつ少しずつ
屋根を取り払い青天井になる
沈殿していたものたちが一気に空に抜ける
やがて柱だけとなる
それは頑なに動かないもの
やがて柱も大きな音と共に倒される
それは地響きか悲鳴か
最後に
一拭きの風で残像すら飛ばされる
全てを取り払われ
そこには何も無かったかのように

更地

更地

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-15

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