『楽園』

『楽園』

蛙の遊具のてっぺんは
君とアタシですっぽり埋まる
アタシたちはそこが
二人だけの王国であるかのように
何もかもを共有した


『楽園』


ここにはアタシたちだけ
秘密なんて入る隙間もない
同化して溶け合って
全てをあけすけに

朝の光より眩しくて
夜の闇より恐ろしい
アタシたちは何だってできる
女の子を生きている

君の嘘をアタシは見抜けない
いつだってそう
だからいつまでもあの頃のまま
共有してると思ってた

どんな嘘にも綻びはあって
全て終わった時に気付くんだ
ああ、もう既にアタシたちは
何もかも違うのだと

アタシと君の間には
薄い膜みたいなのがあって
君はそれがないかのように
誤魔化して笑うんだ

いつから?
もう戻れない?
そんな問いかけを困ったように
だけどきっぱりと跳ね除けて



「嘘でも構わないなんて嘘吐けないよ」

『楽園』

『楽園』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-04

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