「冬景色」

 ゆきがしんしんと降り積もる
 積もれど積もれど
 ゆきは虚しく散るばかり
 人々の記憶の断片に
 残ることなく落つる徒花
 この手に握れど体温は
 ぬくもりが ゆきを殺す
 土に落ちれどすぐ溶ける
 すくえども指の(いき)れが邪魔をする
 死ぬすがただけを見つめてる
 うつくしいあの川から生れたしらゆきを
 殺すことしか出来ないままに

 いっそのこと
 つれていって

「冬景色」

「冬景色」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-22

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