『余所事』

何を訴えればいいのか
アタシの罪状は


『余所事』


嵐の前の静けさに
貴方は小さく溜息を吐く
知ってるわ
これから始まる惨劇を
目を背けることも出来ずに見守るだけ

叫びも嘆きも予め
予想できてた筈なのに
貴方は驚いたように言葉を無くす
アタシだけ蚊帳の外で冷静に
神妙に彼女の怒りを眺めてる

それが過ぎ去ればまた
貴方の無駄な演説が始まり
急にアタシを持ち出してあれやこれや
罪を二等分すれば許されるなんて
甘い考えが通る訳もなく

彼女の怒りに再度火がつけば
後はもう悲惨としか言いようがない
項垂れた貴方はか細い声で
謝罪と言い訳を繰り返すだけ
そうして彼女はアタシを釈放する

悪びれのなさが呆れを生んだのかも
それか一方通行の怒りに
嫌気が差したのかも
だってアタシ何にも関係ない
あの人は只々他人でしかないの

ちっとも悪くないから罪悪感もない
タイミングが悪かっただけ
彼女はちょっと可哀想
だけどそれだけ
鼻歌交じりで街を歩くわ


「無関心は何よりも罪」

『余所事』

『余所事』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-22

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