神様へ


そうだ、神様へ手紙を書こう!

そう小さな僕が思い至ったのは、泣き虫な性格を直すためだ。

どっかで聞いた話。
神様は僕たちのこと守ってくれてるんだって。

だからお手紙を送って、それで仲良くなって…
神様と僕だけの秘密の関係を作るんだ。

秘密を守るかわりに、僕のことを守ってくれるって。
信じていた。



また良くないことが起こった。

他人とどうやって話をしたらいいか分からない。
自分がやりたいことを言えず、流され続けた。
なにを考えているか分からないと言われた。
誰かを傷つけた、自分も傷ついた。

もう他人と話すのをやめよう。


怒ってないよ。誰にも、怒ってない。

神様は守ってくれなかったけど、
まだあの秘密は誰にも言ってないし、言えない。
だから、まだ守ってくれる、よね?



はっ、と目が覚めたら、したいことが何も無かった。

相談…って誰にするの?
誰とも話せないというのに。

「…かみ、さま……?」

返事などない。あるわけが無い。
これは僕が作り出した幻想。空想上の友達なのだから。



己の弱さを痛感した。
初めは泣くのがもう嫌で、それにただ耐えたかっただけなのにな。

捨てられない紙くずの前で涙を流す。
誰も知らない、見ることもない涙。
泣き疲れて、途方にくれて、
諦めようにも、こんな臆病な僕じゃ無理な話だった。

これからどうしたらいい?
神様に頼れなくて、誰にも頼れなくて、残るは僕一人。

じゃあ、もうこうするしかないね。
ねぇ?そこから僕の頑張りを見てて欲しいな。神様。

神様へ

神様へ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted