「春のサンタ」

 とける雪に別れを告げて
 溢るる手紙の記憶を花に咲かす
 輝きつやめき悄れ枯れ散る花々
 姫紫苑のかすかにゆらぐ欠片には
 雪どけ涙のしとり降る
 忘れおかれる宿命の
 星の命には背かざる
 白雪編みし温かの両手
 日のもとに立ちて水を抱く
 「また生れておいで」と去にし花々の破片に語りかけ
 彼は静かな小屋へと帰る

「春のサンタ」

「春のサンタ」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-12

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