機動戦士ガンダムスカーレット～妖精舞う宇宙で～
まさか、地球連邦政府による人類の生存圏を拡げた宇宙開発政策を、ジオン公国軍側の虐殺者たちが言うように棄民政策だと、本当に思っている愚か者はこの星空文庫の読者にはいませんよね？
旧い悪夢の終わりと新たな悪夢の始まり
注意 本作はパラレルです。
宇宙世紀
人類が地球という狭い空間から飛び出し、新たな世紀を迎えても、人々は未だ内なる遺伝子の問題に対応しきれてはいなかった。
ＤＮＡのバグは無慈悲である。
生まれながらに遺伝子損傷のない星の許に生まれた恵まれた人々は、適切な教育の下、容易に立派なスペースノイドとして成長していけた…その一方。
自身にはまったく落ち度がないのに、両親が被った様々な要因により、五体満足で生まれ出ることができなかった者たち、一見、五体満足ではあるが境界知能と診断された人々、脳の一部に損傷があるのか、極一部の限られた分野しか才能を発揮できぬ人々、後天的に身体に障害を持った人々、その他、様々な理由で障害を負った人々は、スペースノイドになる道を閉ざされ、アースノイドとして地球上に残された。
また、スペースノイドの両親の許に生まれようとも、様々な理由でスペースノイドとして認められなかった人々も同様だった。
多数のコロニーが浮かぶ各サイドからの地球流しの措置。
ある意味、それは当然の帰結といえた。
苛烈な宇宙空間、人工の大地であるスペースコロニーでの生活は厳しいのだ。
それは、宇宙飛行士アストロノーツとしての才能を、宇宙に住む上では当然のスキルとして獲得し、開花させたスペースノイドたちにしても同様のことであった。
この、旧世紀においては希有な才能であったスキルを身につけられた者たちにしても、宇宙生活はかなり辛いのだから。
そう。
本来、人類の肉体は宇宙空間で生活するようには出来てはいない。
宇宙空間にある程度適応できたスペースノイドたちですらそうなのだから、アースノイドとされた人々、身体障碍者、知的障碍者、境界知能の者たちが、何の補助もないまま宇宙で暮らすことなど不可能だ。
そんな無慈悲な現実があったからこそ、彼氏彼女らは、本来の人類のホームである地球上で暮らすことになったのだ。
無論、地球連邦政府旗下の、厚生省にあたる政府機関や、様々な人道団体もその格差を埋めようと躍起になり、様々な技術を発展させたのだが、それは、すべてある発明によって無に帰した。
ミノフスキー粒子を発生させる、ミノフスキーイヨネスコ炉の完成であった。
この小型の新型核融合炉は、放射能を外部に漏らさないという、人類の進歩を大幅に促進させる画期的な発明であったのだが、重大な欠陥があった。
広範囲に電波通信を阻害するだけでなく、精密な電子機器全般に多大な影響を与えるミノフスキー粒子を発生させてしまうのだ。
その結果、身体、知的障碍者、境界知能の人々を補佐する高度な補助器具全般が、宇宙空間では使用不可能となってしまった。
そんな、一部の限られた者たちのためだけに、一々、広域でのミノフスキー粒子の除去などしている暇はない。大体、コストが高過ぎるし、その時間があれば、優秀なスペースノイドは別の仕事を問題なく果たしてくれる。
さらに、ミノフスキーイヨネスコ炉の利便性が、アースノイドたちの地球圏での社会参加によるプラス要素を大きく上回っている…そのことも仇となった。
今の文明レベルでは、アースノイドたちの地球圏での社会参加を意図するよりも、新技術を活用した優秀なスペースノイドたちによる、宇宙空間での勢力拡大こそ優先されるべき。
地球圏全体や連邦政府内外の意向は、時間の経過と共にそちらの方向へと傾いていった。
こういった要因もあり、これ以後の電子機器を内蔵したアースノイド用補助器具開発は縮小化。
これらの政策、計画変更により、アースノイドとされた人々は、ほぼ、スペースノイドたちに見捨てられてしまった。
その結果、地球圏の一般市民であるスペースノイドたちから、アースノイドとは存在しないもの、透明な人々とされ、忘れ去られていった。
彼らを保護するために地球に残った人々と、人類の庇護者にして指導を担当する、地球連邦政府の政治家、官僚、軍人含む公務員たちを除いて。
弱者であるアースノイドのための政策は、そのような一部の友愛精神を持った人々の主導によってのみ、細々と続けられるものとなった………なってしまった。
環境変化に適応できない弱者は切り捨てる。
人類の技術進歩は、時として合理的ではあるが、無慈悲な決定をするのだ。
そして、時代の流れは更なる試練をアースノイドたちに課し、踏みつけにする。
新世紀たる宇宙世紀になって半世紀が過ぎ去さろうとした頃、その悪夢のような優生、選民思想が入り混じったデマゴーグが、人類の新たな生活空間（地球圏）を席巻していった。
この優生、選民思想を下地に、地球圏の支配権を我が物にしようと画策した悪辣な者たちは、地球に残った…いや、残らざるを得なかったアースノイドたちの立場を、スペースノイドの敵、悪役として最大限に活用した。
なんと、弱者である彼らアースノイドたちを、不当に地球に残り、その特別な権利を欲しいままにしている特権階級だ。地球圏全体を、地球上から支配している悪の根源だと宣伝し、攻撃し始めたのだ。
その一方、本来、偉大な宇宙開拓者であるスペースノイドたちは、地球を独占したいアースノイドたちによって、不当に宇宙に捨てられた棄民と喧伝され始める。
無茶苦茶な、恥ずべき言い掛かりであった。
だが、あろうことか、立派な未来を作るべき宇宙移民第二世代の若者たちが、その悪意に溢れたデマゴークに感化され始め、反地球連邦活動を開始してしまう。
なぜなら、彼らは地球連邦政府によって地上が統一される以前の、地球上での人類の苦しみ、悲しみをまったく知らぬまま成長してきたからだ。
親世代の宇宙移民第一世代に甘やかされ、人類の明かるい未来への展望のみを聞かされて育った新世代………他者から意味不明な難癖を付けられて殺される………かつて、地球上に存在したそういった理不尽と戦うことを知らぬまま、長じてしまった人々だったからだ。
とにかく、思想、信条の違う者たちと、互いの命が尽きようと戦う………そういった人生での禍々しさをまったく知らずに、彼らは生きてきたのだ。
そんな恵まれた環境で生活してきた人々が、じつは自分たちは、悪意ある者たちによって不当に差別され、搾取されているといきなり突き付けられたなら、混乱してパニック状態に陥ることも、仕方のないことだろう。
その上、恵まれた宇宙移民第二世代たちにとって、生まれて程なく引き離され、隔離される、身体、知的障碍者たちとの縁は薄く、また、特別な支援の上で教育される、境界知能の者たちにも、これといった知り合いは存在しなかった。
後天的な障碍を負った者を見聞きし、触れ合うこと自体、稀。
人類の、生物上の負の側面に対し、あまりにも無知だったのである。
彼等、宇宙移民第二世代は、本当にそのように甘やかされ、コロニーという宇宙のゆりかごで育ってきたのだ。
そんな宇宙移民第二世代の若者たちにしてみれば、地球に生きるアースノイドなどまったく実態を知らない存在であり、どんな暴言を吐いても、反撃のない気軽に攻撃してよい見ず知らずの相手…その程度の存在であった。
それが、じつは、地球での特権を享受し続けている支配者層であるなどという、悪辣極まった陰謀論を突然聞かされれば、吃驚仰天して、それは本当なのか？…もし本当だとしたら…と、怒り狂うのも当然であった。
俺たちはアースノイドたちに騙されていたのか？…と。
それは、これまで敵という敵と言えば、フィクションにのみ存在するエイリアンぐらいという感覚しか持っていなかった若者たちにしてみれば、初めて自分たちの前に現れた、実体のある本物の敵対者であった。
彼ら、移民第二世代の若者たちの闘争本能は激しく刺激され、それは集団ヒステリーとなって地球圏全体へと拡大されていった。無論、そんな集団ヒステリーは、時間の経過と共に治まっていき、何だ…デマか…と、大多数の者は正気に戻ったのだが、一部の者たちは確実にその精神を捻じ曲げることとなった。
これら一部のスペースノイドは、一見、他の者たちと同様に思え、見分けがつかなかったが、ある一点が違っていた。
他のスペースノイドたちは、民主主義の国家の一員として孤高であった。、政治家たちを選ぶ立場の者としての責任感が持ち、他者からの支配を受け入れない孤高さを持ち合わせていたが、彼らは違った。
民主主義の社会に生きる者としての覚悟がなかったのだ。
それ故に、つねに内心で、他者と戦う野性的な群れを率いる絶対的なリーダーを求めており、そんな優れた人物に支配されたがっていた。
こと、投票時に際しては何物にも捕らわれず、孤高であるべき個人としての覚悟、魂の代わりに、独裁者に支配される才能ともいうべく内面を有していた。
彼等にとって、アースノイドという敵が現れたことは、そちら側…すなわち、支配される側…に、自分の身の置きどころ見出し、進むべき方向の舵を切る稀貨となった。
他者を支配し、思うままに操りたい願望を持つ者たちの思う壺の精神構造の発露だった。
別の言い方をすれば、焙り出されたのだ。独裁国家を希求するものたちか否かを。その奴隷としてのメンタルを持ち合わせているかいないかを。
なぜ、このように後々、折角一つに纏まっていた人々が、二つの陣営に別れて戦い、殺し合うような事態の始まりが生じたのか？
それら、人々を分断し、争わせるような悪辣なデマゴーグの流布は、後に、反地球連邦、独立主義に狂った者たちと共に、サイド３ムンゾを占拠し、ジオン共和国、続いてジオン公国を誕生させる、ザビ家一党の暗躍によって始められた、政治的な闘争劇であった。
まだ地球連邦政府の形が定まらず、地球上での国家と国家、イデオロギーや宗教対立での戦争があった時代、ザビ家一党は逸早く、地球人類統合を掲げた地球連邦の始祖と言うべき勢力に味方し、暗殺などの汚れ仕事に従事した。
すべては、地球統一後の利権、権力奪取のための行動であった。
ザビ家は地球統一後、自分たちが人類の主導的立場に立てると、その希望に縋り、汚れ仕事に進んで従事したのだ。
しかし、地球連邦政府の成立後、ザビ家一党にはその過去故に、連邦政府のフィクサー的な特権と財力こそ与えられはすれ、表の世界へと進出し、政治家といった表側の権力者の道を歩むことは、決して許されはしなかった。
ザビ家出身者が政治の中心に入り込み閣僚に抜擢されたとしよう。その時、過去の一族の悪事が連邦議会で暴露されてしまえば、政治機構が一時的に麻痺してしまう恐れなどがあった。
こういった状況があり得ると知る、他の特権を与えられた勢力は自分たちの立場を弁え、自ら宇宙世紀の政治の表舞台に出ることを避けた。
だが、ザビ家一党のみは自重することができず、納得しなかった。
彼等、ザビ家一党は地球連邦政府に裏切られたと、内心、怒りに打ち震えた。
その後、新たにザビ家の当主となったデギン・ソド・ザビは決意する。
地球連邦政府内部で権力の頂点に立てぬのであれば、連邦の外にザビ家を頂点とする国家を建設し、そのトップになればよいと。
そのためのアースノイドを人類の悪役として貶め、人類を分断するという一手に出たのだ。一部の弱い立場の者たちにレッテルを張り、貶め、社会の分断を図る古典的手段、手法であった。
ここに、地球上にあって地球圏を支配しているというアースノイドたちと、棄民で搾取される立場というスペースノイドたちという、ザビ家一党によって作り出された嘘偽りの対立構造が出来上がった。
その嘘偽りのアースノイドによる支配から抜け出さんとするスペースノイドたちが、後々、ザビ家の下に集い、ジオン・ズム・ダイクンの影響力を利用して国家を形作り、富国強兵を謀り、人類総人口の半数以上を死に至らしめる最悪の大戦争を勃発させるのである。
彼らを傀儡として背後から操り、独立運動を開始させるという、ザビ家の遠大な計画の最初の策謀であった。
あろうことか、真に悪の天才と言うべきデギン・ソド・ザビは、その後、多数のスペースノイドや、ジオン・ズム・ダイクンといった善意の人々を計画に巻き込んだ上、破滅させていき、自分たちのみ生き残って、ついには、その屍の上に自らを君主とする独裁国家を誕生させてしまう。
そして。
宇宙世紀００７９年
デギンの息子、ギレン・ザビの主導の下、スペースノイドたちの楽園であった地球圏で、人類史上最悪の一週間戦争、そして、地球連邦、ジオン公国間での、戦争上のルールである南極条約が締結されて後、一年戦争という狂気が開始された。
元々、地球連邦はスペースノイド中心の人類統一国家であったというのに、その地球連邦政府から独立し、アースノイドからの支配を断ち切った、真のスペースノイドの新国家を樹立するという…何言ってるんだこいつら？…という大義の下で。
その激烈なる戦いの最中、スペースノイドたちに比べれば極少数でしかなかったアースノイドたちも、無残に殺されていく。先の一週間戦争での、スペースノイド５５億に比べれば微々たる数であったが、彼等と共にあった健常者共々、３億程度の地球に居住していた人々が殺害された。
ジオン公国軍の狂いに狂った兵士たちは、自分たちが倒すべき悪と定めたアースノイドたちのみならず、ジオン公国軍の世直し（苦笑）に賛同しなかった、アースノイドたちとは無関係の人々すら、大虐殺の標的としたのだ。
この大悪行によって、１１０億存在した人類の総人口は、半分以下に減少。
じつにその死者の９０％以上が、コロニー落し以前の、宇宙でのジオン公国軍による大虐殺の犠牲者であった。
それにもかかわらず、地球上以外でも、戦後まで多数の軽度知的障碍者女性、境界知能の女性たちが生き残った場所があった。
月の裏側にある都市グラナダ。そこから程近いクレーターに建設されていた、スカーレット財団所有の衛星都市である。
そこは、多数のスペースノイドとして認められなかったうら若き女性たちが、各サイドのコロニーから集められ、ある教育を受ける場所だった。
それは…良きスペースノイドになれぬのならば、せめて、良き子を産み育てる母となるべきだ…そういった信念の下、地球連邦政府による支援を受けて建造された小都市であった。
その名をフェアリーガーデン。
旧世紀に、日本列島で小学低学年の特殊学級を、ひまわり教室と呼んだのと同様に、妖精（知的障碍者や境界知能女性たちの別名）たちが通う教育の園という意味で名付けられた特殊施設だ。
ザビ家同様、地球連邦政府成立以前、地球人類統合勢力に逸早く合流したシンクレア一族が築いた施設。小都市一つが丸々使用され、宇宙生まれであっても一人前のスペースノイドとして認められなかった人々用に、特別に用意された特殊施設であった。
彼等シンクレア一族は、宇宙開拓政策の開始後、地球と月、月とサイド３、その遥か彼方の火星圏へと続く航路を管理する特権を得た一方、生物である限り、かならず発生してしまうＤＮＡのバグによって誕生してしまい、弱い立場に追いやられた人々を救済する役割を与えられた者たちであった。
高貴な立場の者たちの義務、ノブレスオブリージュである。
このシンクレア家一党によって庇護された女性たちは、狂えるザビ家の妄執によって、多数の障碍者、境界知能の者たちが無残に殺害されていったにもかかわらず、一年戦争という狂気の最中、保護する妖精たちのほとんどを生き延びさせた。
彼の地を守護した良識ある人々の尽力で、妖精少女たちは未来を手にすることができたのである。
その一方、同じ立場でありながら、置かれた状況の違いによって、強化洗脳され、兵士に改造されてしまった者たちも存在した。
ジオン公国軍内の特殊部隊により、戦前より密かに用意されたいた簡易型の強化人間たちのことだ。
強化人間といった精神、記憶、身体を改造された兵士たちは、後のグリプス戦役以後にこそ多く実戦に投入され、戦果を齎したものだが、じつは、その強化処理は一年戦争以前から密かに実施され、実験的に実戦投入されていた。
とくに、妖精…身体障碍者や境界知能の者…たちはその標的としておあつらえ向きであった。
所詮は消耗品としてしか使い道のない片輪、不具の輩。そこそこのコストに見合う活躍を見せてくれればそれでよい…と。
そう。
彼らは、記憶操作面でも洗脳が容易であった。強化処置が容易で、暴れさせるだけ暴れさせ、打ち捨てる低コストの兵器として、とても優秀だった。
高い知能を示す者たちを洗脳することは、困難であり高コストであったが、妖精たちは、その内的世界がシンプルであったが故に、洗脳処理が容易で低コストだった。
一般人たちも、妖精たちも、基本、その生物としての闘争本能を持っているが、普段は理性で押さえているものだ。
そんな闘争本能を抑制している妖精たちの精神の箍を外すのは、じつに簡単だった。
強化人間とは、肉体強化だけの存在ではないのである。その記憶も、後天的に捏造される。
彼らは本来の記憶を奪われた後、敵対者を激しく憎むよう、偽の記憶を植え付けられることが常であった。
ザビ家に支配された軍上層部の主導の下、その強化処置を実際に実施した者たちは、ニュータイプの戦争利用を目的として組織されたフラナガン機関………その下部組織であった。
思考操作による物体操作技術サイ・コミュニケーション同様に、洗脳や薬物を利用して人々を操作する研究も、他の技術開発と同時並行的に進められていたのだ。
人の精神の自由も、その生命さえも、己の利益のために使い潰す。ザビ家が支配するジオン公国という国家の一機関らしい、愚劣極まりない所業であった。
そのおぞましき所業をなす機関の名は、クリムゾンといった。
この機関の構成員たちは、自国…ジオン公国内で誕生した後、一般市民から離され、隔離されて育った妖精たちを最初の犠牲者とした。
優生思想、選民思想に支配されたジオン公国内では、スペースノイドとして認められなかった者たちに、元々、人権など与えはしなかった。
彼らには、これら強制的な強化洗脳措置を拒む権利など、最初から与えられてはいなかった。
彼等、妖精たちを強化した簡易強化兵たちの初戦は、一週間戦争でのコロニー落し用に虐殺、占拠されたアイランドイフィッシュであった。
何も解らぬままに同コロニーの一般国民虐殺に駆り出され、その基本的な運用データの取得後、もはや用済みと、シーマ艦隊のＧ２毒ガス散布によって、生き残りの国民たち諸共皆殺しにされた。
その死体すべては、後のコロニー落しによって原型を留めることなく塵と化す。
虐殺と毒ガス攻撃の末、皆殺しにされたアイランドイフィッシュの連邦国民たちの死体と共に、オーストラリア大陸の四分の一の範囲ごと、闇に葬られたのだ。
そのため、いくらクリムゾンが簡易強化兵士たちを雑に扱ってアイランドイフィッシュで暴虐の限りを尽くさせても、証拠隠滅は完璧であった。
その後、新たに大量の妖精たちが、ジオン公国の支配地域から集められ、彼氏彼女たちは新たな簡易強化兵士たちとして、さらなる強化が成された。
ミノフスキー粒子の影響によって、精密機器は正常起動も儘ならないというのに、脳内前頭葉に制御チップを埋め込まれ、強制的に指令のままに行動するように脳改造もされた。
その結果、ミノフスキー粒子濃度が低い地域ならば、簡易的な兵器運用が可能となり、ホバーバイクのワッパや、装甲車やジープなどの、旧世紀の機動兵器が与えられることとなる。
一年戦争序盤の地球侵攻作戦では、都市破壊や、戦場での囮部隊として活用された。また、ジオン公国軍兵士たちの精処理用にも利用された。
兵士たちは駒ではない。ザビ家に洗脳されているとはいえ、生きた人間である。ストレス解消の手段として、ギャンブルもすれば女も抱く。遊びで捕虜の虐待行為にも及ぶし、殺害しもする。
繰り返すが、優生思想、選民思想の蔓延するスペースノイド社会にあっては、妖精たちに人権は与えられない。妖精たちを強化した兵らは、使い勝手の良い精処理の道具としても利用された。
どうせ長くない命だ。妊娠させても問題ないと。
また、彼女等、新たな簡易強化兵士たちは、どこで使い捨てても構わない都合の良い駒として、地上でも運用された。そうして、とくにスペースノイドたちでも嫌がる地域に、逐次投入されていくことになる。
地球上には、ジオン・ズム・ダイクンの死後、サイド３の優生、選民思想が間違っていると気付き、地球連邦側に亡命した、旧ダイクン派スペースノイドたちの居住するコロニーが各地に点在していた。
ザビ家のスパイが暗躍している各サイドでは生きていけなかった旧ダイクン派は、地球連邦政府官僚たちの好意…無論、連邦軍の情報収集の側面もあった…で、ザビ家による悪政が一段落するまでという期限があったものの、一時的に地球上での居住を許されていたのだ。
その地を、新型の簡易強化兵士たちが強襲した。
その虐殺は、ザビ家の意向が大きい作戦だった。ザビ家に逆らう者は、何人であっても許さない。ダイクン派であったなら尚更だ。
後の、ザビ家の支配する地球圏統治のために、貴様等旧ダイクン派には見せしめに全滅してもらう。
そういった、ジオン軍の一般兵士たちにしても…え？…ちょっと待てよ？…元同胞だろう？…さすがに、その命令は聞けないよ…と、躊躇して二の足を踏む作戦に、新型の簡易強化兵たちは次々と投入、従事させられていった。
これらの作戦は、ザビ家の悪意に気付いた、一部の連邦軍兵士と、地球連邦軍側で参戦した一部民兵たちによって、道半ばで阻止されることとなるのだが、妖精たちを強化した簡易強化兵士たちは、多大な犠牲と僅かな戦果のもと、さらに様々な強化がなされ、その製造が停止されることはなかった。
一年戦争の中盤から終戦。そして、その後の騒乱、デラーズ紛争、グリプス戦役、アクシズ紛争、シャアの反乱。その以後の袖付きの暗躍、等々、その後にまで。
とくにシャアの反乱以後、フル・フロンタルという強化人間が総帥を務めた袖付きなどのジオン残党系列のテロリストは酷かった。
シャア・アズナブルこと、キャスバル・レム・ダイクンの死後、これといった指導者がいなくなった同組織は、残党兵たちの引き留めに躍起になっていた。
強化人間である者のみならず、一般兵士も簡易的な強化で記憶を捏造され、それを信じてテロ活動に従事している始末だったのだ。
ある兵士は、ジオン公国軍に親を殺されていたにも関わらず、連邦軍に殺されたと記憶を改ざん、捏造され、偽りの記憶に浸りテロリストとなっていた。
またある兵士は、妻や娘が、地球連邦軍の進駐軍とやらにレイプ後殺害され、そのスナッフビデオが世間に流出しているとされた。この兵士にはもちろん、元々、妻も子もいないし、当然、そのスナッフ殺人ビデオも、赤の他人が演じる偽物だった。
さらには、ある強化人間娘は、袖付きの男性兵士たちに集団レイプされて妊娠、堕胎処理をされられたのにも関わらずに、やり手ババアに拾われ、売春婦にされていたところを、袖付きの兵士たちに助けられたと、記憶を改ざん、捏造されていた。
その方が、捨て駒として役に立つと。
とにかく、悪いのは地球連邦政府であって、我々、ジオン公国残党軍はその犠牲者。我々、真のスペースノイドは地球連邦政府の棄民政策の犠牲者なんだと、心理カウンセリングと偽って洗脳装置に導き、多数の兵士たちを簡易洗脳していた。
その他にも、独立運動や優生、選民思想に縁のない者たちならば、聞けば笑ってしまうような内容での、記憶の捏造が多々見られた。
バカジャネーノ。
しかし、そんな麻薬常用者たちの末期的状態が如き事態が、劇的に一変する事態が００９６年に生じた。
スウェッセムブースター。
そう呼ばれる薬品が、試験中だとの名目で密かに収容施設のある各コロニーに運び込まれ、ジオン公国軍の洗脳処理によって、もう一般社会には復帰できないとされていた者たちへと投与された。
その効果は劇的であった。
個人差があれど、短期間の投与を続けると、被験者たちが自力で洗脳を解除し、社会復帰できるレベルまでの回復を見せたのだ。
人の脳には、スウェッセムセル、あるいはスウェッセム因子と呼ばれる精神感応波を発生される機能が存在する。連邦のニュータイプ研究所や、ジオンのフラナガン機関の研究では、これは、アムロ・レイや、ララァ・スンといったニュータイプと呼ばれた人々が特に顕著であった。
その脳の機能を、スウェッセムブースターを投与することで一時的に活性化させると、奇跡が起きた。
何と、脳内ニューロンの成長速度までも一時的に増進され、知能指数が飛躍的に跳ね上がり、脳が霞に覆われている状態だった、うつ病患者たちや、洗脳処理を施された者たちの思考を、短期間とはいえクリアでクリーンにする効果が実証されたのだ。
この奇跡の薬剤スウェッセムブースターを作り出した女流研究者の名は、シチヨウ・ノーレッジという。
一年戦争中は、ジオン公国軍クリムゾン機関に捕らわれの身となっていた女性で、無理矢理、洗脳兵士の増産に協力させられていた人物だ。
彼女は、一年戦争末期、フラナガン機関によってエルメスというモビルアーマーが完成した折、実戦での実証実験に同行するという名目で運用部隊と合流する途中、フラナガン、クリムゾンの両機関の隙を見て逃亡を果たした。
その後、自分の存在を完全に隠蔽するためにコールドスリープを選び、つい先年まで、スカーレット財団が運用していた老朽艦船の一室で眠りに就いていたのだ。
常に運用されている艦船ならば、コールドスリープシステムが常に稼働中であっても、疑われないということである。
そうして、１５年ぶりに目覚めたシチヨウ・ノーレッジ女史は、スカーレット財団の若き新総裁レミリオン・シンクレア庇護下で、ジオン軍残党によるスペースノイドの誘拐、洗脳支配を終わらせるべく、新薬スウェッセムブースターの製造を開始。実用段階に至るまで、献身的な働きを見せたのである。
そうして、スウェッセムブースターは、試験的という名目の下、まずは各サイドの洗脳被害者収容施設へと配られた訳である。
この計画が軌道に乗れば、本当にジオン公国軍残党による大規模テロが終わる時代となる。
計画に参画する誰もがそう思っていた頃、ついにあのクリムゾン機関の後継集団が時代の表舞台へと登場してきた。
完成系の、モビルスーツ運用を可能とする、ニュータイプにも比肩する能力を持った獣人型洗脳兵を伴って。
このまま、シチヨウたちに地球圏全体へとスウェッセムブースターがばら撒かれたならば、我々のこれまでの研究と努力が無に帰してしまう。そう危機感をクリムゾンは覚えたのである。
宇宙世紀００９６
旧い悪夢が終わろうとする状況下、新たな悪夢が暗黒の底から這い出て、地球圏を覆わんとしていた。
これより始まる物語は、ＭＳギャン・フランドール（フランケンシュタインの怪物人形）を駆って、クリムゾンの首領たる悪の教育型コンピューター搭載ガンダムに対抗する、一人の少年を主人公とした物語である。
旧き悪夢の終わりと新たな悪夢の始まり 終
ちょっとだけ補足説明
主人公：コウハク・レイドリーム 男性 １５歳
フェアリーガーデンに程近い、月のツクヨミ神社に暮らす神職見習いのイケメン。神主のゲン爺に育てられた孤児。ある理由から、幼少時よりスウェッセムブースターと同様の効果を持つ丸薬を服用しており、ニュータイプに比肩する精神感応波を放つ才能を得ていた。
フェアリーガーデンに暮らす幼馴染の少女マヒロ・タノシマとは相思相愛の間柄であり、彼女に再開するために向かったフェアリーガーデンで、クリムゾンの洗脳兵たちによる大規模テロに巻き込まれる。
その最中、マヒロが死亡するほどの重傷を負う。
激昂したコウハクは、フェアリーガーデンのオーナー、レミリオンが密かに開発していたギャン・フランドールを、精神感応波の広範囲放射によって起動させ、やって来たフランのコックピットへ乗り込む。
そうして、コウハクは怒りのままに洗脳兵スレイヤーと化し、次々と洗脳兵の駆る敵ＭＳを撃墜していく。そこに、新たな絶望が待つと知らずに。
名前とスペックの元ネタは、東方ｐｒｏｊｅｃｔの紅白巫女、博麗霊夢。
ＭＳ‐Ⅹ１０ＧＹＡＮ‐ＰＬＵＳ ＦＬＡＮＤＲＥ
フェアリーガーデンでの大規模テロ以後、コウハクが駆ることになるギャンを基礎としたＭＳ。フランドールとはフランケンシュタインの怪物人形という意味。
ランドセル部以外の外見はオリジナルと大差ないが、背面部に、七色のサイコオーラ・オブジェクトを取り付けたウイングユニットが装着されている。このウイングユニットは、機体をサイコオーラ・フィールドを使ってのフィールド駆動のみならず、新型の推力発生器としても機能する。最悪、機体を制御するジオン系ＭＳの流体パルス駆動が破損しても、代用としてフィールド駆動で制御できる優れもの。
このサイコオーラ・オブジェクト精製の元々の基本データは、シチヨウ・ノーレッジ女史が、クリムゾン機関からの逃亡時に持ち出した、ロム・フラナガン博士のサイキック研究の一部である、サイキック研究の流れは、精神力でのサイコエネルギー利用と、人体が発するオーラエネルギー利用の流れがあり、このシステムは、オーラエネルギー利用と、サイコ・コミュニケーションというマン・マシーン・インターフェイスの合わせ技の産物であった。
紅白が搭乗した時、サイコオーラ・オブジェクトの影響を受け、機体カラーがスカーレットとホワイトに変化し、そのまま固定カラーとなる。
この戦い以後、Ｉフィールドをぶち抜くために、ウイング下部に変形型レールガンが追加される。変形し、腰の左右に展開。ガンダムＦ９１のヴェスパーのように使われる。
名前と機体性能の元ネタは、東方紅魔郷の悪魔の妹フランドール・スカーレットである。
思い描いていた未来の崩壊
月の裏側の都市グラナダ。
そこから程近い小都市に、ツクヨミ神社という神道系列の施設が存在した。人類が月面上へと版図を拡げた時期に、東アジア系のスペースノイドたちが月に建立した施設である。
長らく人は居住せず、出入りの管理者が定期的に整備し、特定の行事にのみ使用されるだけの施設であったが、一年戦争後に事情が変わった場所であった。
戦後、新たに神主として居住することになった人物、ゲン・ロムストールが、戦災孤児たちを複数名引き取り、孤児院の真似事を始めたのである。
戦災孤児たちの多くは、戦後の１５年間でそれぞれ立派に自立したのだが、その時、０歳児であった一人の少年だけは、今もゲン爺ことゲン・ロムストールと、ここで二人暮らしをしていた。
少年は事実上のツクヨミ神社の神主の後継者であった。
すでに、後々発生するゲン爺の多額の遺産の権利や、土地、建物、施設管理も引き継ぐ。そんな公的な契約も済ませてある。
それに、少年には将来的にお嫁に向える意中の女性も存在し、相手もそのことに前向きであった。相思相愛であったのである。ツクヨミ神社の未来は明るかった。
その未来の計画が、何の妨害もなく滞りなく運べば………という、注釈付きではあったが。
そんな古風な木造建築物の厨房から、こと…こと…こと…と、蒸気が鍋の蓋を定期的に上下させる音が続いていた。ツクヨミ神社に住まう少年が、筑前煮を煮込んでいたために生じた光景だった。
本日この日、これより少年が向かうフェアリーガーデンに住む意中の異性。彼女に届け重箱に入れるおかずの用意だった。
本日、スペースノイド未満とされた妖精少女たちが、学び、暮らすフェアリーガーデンは休学日であった。
少年…コウハク・レイドリームは、幼少の頃よりゲン・ロムストールと二人暮らしのため料理上手であった。コウハクは自分の生活レベルを引き上げることに幼い頃から熱心だったのだ。
そして、その手料理を捧げる意中の女性…マヒロ・タノシマは、ツクヨミ神社に近しい小都市の住民で、彼の幼馴染であり、幼いころからの遊び相手でもあった。
そんな二人の定番の遊びは、実際の食材を使ったおままごとであった。
もっとも、料理する側はマヒロではなくコウハクであり、そうして実際に作られたコウハクの手料理を食べるのは、いつもマヒロの役目だった。
一見、マヒロにとっての苦行に思えるが、そうではなかった。
東洋系の血筋が混じるマヒロの舌に、コウハクの作る和食は優しく、相性抜群だった。
コウハクが料理上手になった一端には、彼女に料理を振舞うと、いつも、コウハクの手料理は美味しいね！…と、喜んで食してくれたからであった。決して、コウハクの男二人だけの生活が長かったためだけではない。
異性が自分のやったことに対して喜んでくれることは、コウハクにとって非常に好ましいことであり、精神的な成長にも寄与するものであった。まして、好いた相手ならば、そのは喜びも一入（ひとしお）であった。
ねえ、コウちゃんは、マヒロのこと…好き？
うん。大好き！ マヒロは？
大好きだよ！
そんな二人が幼少の頃から、将来、一緒になろうねと誓い合うことは当然といえた。性的にだけでなく、胃袋の相性も二人を結び付けたのだ。
ただ、二人が宇宙に住むスペースノイドという存在であることが、二人のその早い結婚願望を阻んだ。
マヒロ・タノシマは、宇宙生活の上で必須であった学問、数学がさっぱりだったのである。文系の学科はどれも優秀であったのだが、数学の分野を含む理系学科は常に最低レベルであった。
たとえば、地球住まいのアースノイドならば、それは何の問題もなかっただろう。他の分野で活躍すればよいのだから。
しかし、スペースノイドとは、鉛筆一本と紙一枚で高度な宇宙船の航路計算や、他の移動物体との相対速度、距離、時間、重力偏差を計測してみせなければならない宿命を背負っていた。
そうでなかれば、広大な宇宙空間で活動などできないのだから。
そんな高度な計算はコンピューターにさせればよい？
壊れてさえいなければ、それでよいだろう。
では、高度の計算をするコンピューター、及び、通信機器が壊れてしまったら？
頼れる者も一人もいない状況下に置かれたら？
それで自力計算ができないならば、後は勘と運に頼るしかなくなる。
だが、冷たい方程式が支配する広大な宇宙空間でそうすることは、自殺を強要するも同然だ。そんな過酷な状況下に、震える小動物と同程度の少女を一人で投げ込めるか？………といえば、そんなことが許されるはずもないと解ろう。
結果。
マヒロは、１２歳でフェアリーガーデンへの入園が避けられなくなり、コウハクとの早期結婚はお流れとなった。なぜなら、准スペースノイドとしての公的登録は、フェアリーガーデン卒業と、宇宙船舶勤務等権利の自主返納。そして、しかるべき伴侶を得ての、コロニー公社等へのスペースノイドの借財返済を肩代わりしてもらわなければならないからだ。
宇宙生活は、とにかく高額なのである。
過去、ジオン公国政府や国民が、戦争の大義名分として嘯いていた、地球連邦政府によるコロニーへの棄民政策などできようはずもない。
だれがその莫大な費用を支払うというのだ？
宇宙移民第一世代での宇宙移民費用は、一家族、父、母、子二人で、一人ドルベース７５億ドル、計３００億ドルが必要だった。三世代で返済する計算の多額の宇宙移民費用だった。
地球上の都市ですら部屋ひとつ借りるのにそこそこの金額が必要だ。まして宇宙での人口の大地での生活である。その程度は当然必要となる。
それだけの借財を、コロニー公社などの機関から前借して地球に住んでいた人々はスペースノイドとなったのだ。
棄民政策を実施するというならば、その何十億人分もの多額の費用を連邦政府が負担しなければならなくなる。無茶を言うなよと。笑い話である。
もっとも、それがスペースノイドたちの負担となるかというと、そうでもなかった。
スペースノイドの年間収入は、連邦政府の政策によって、一人、最低５０００万ドルから２億ドルが維持されていたから、高い生活費を支払いつつも、その借財返済に問題はなかった。
人口抑制政策による人為的な人手不足状態の維持によって、高額の報酬が約束されていたのである。
そう。
人口抑制政策とは、別に人類が増えることを抑制することが目的なのではなく、宇宙というフロンティアでの人不足状態の維持をしてやり、スペースノイド一人一人に高額の給料を支払い続けることこそが目的だった。
借金などの返済は、自力で成し遂げてこそ称賛される。それは、旧世紀も宇宙世紀も同じ。政府がそれを肩代わりしてしまえば、そんな国家には、際限なくお国に甘える民衆しかいなくなってしまう。
国に甘えることしか知らぬ民しかいない国家はどうなる？
無論、自助努力のできな国民しかいない国家は、滅ぶのが当たり前だ。
それは、亡国の道筋であろう。
そうならないための、厳しい政策の一部だった。
また、スペースノイドの選挙権は、借金漬け状態のままでは制限された。
借金漬けの借金大王とその家族に、借金返済が終了するまで選挙権は存在しない。だが、借金返済の他のことに捕らわれずに生活し、返済を続けられる道筋は付く。
まずは憂いなく借金返済に邁進し、その後、自力で自分たち一族の選挙権を取り返してくれ。自らの労働で取り戻してこそ、宇宙生活者の選挙権は、代替のきかぬ輝かしいものとなるのだから。
これら地球連邦政府の一連の政策は、人の誇り、尊厳維持のためのものだったのだ。
そういった事柄を見事にやり遂げて見せてこその、宇宙に進出した新人類といえるのだから。
それはともかく。
コウハクとマヒロの生活圏は、月の小都市内とフェアリーガーデンへと移り、それぞれの休日が重なった日にのみ、二人は再開する運びとなったのである。
そう遠い場所にいる訳ではないが、離れ離れの日々。
若い男女には、それはかなり苦しい日々であった。
機動戦士ガンダムスカーレット～妖精舞う宇宙で～
あえて説明を省いたり、中立ではない描写をし、それを真実と誤認させる。初代からの伝統的な演出です。そういった演出というものが理解できない哀しい人が最近は増えた。タイムパフォーマンスなどと三倍速で映像を見てすべてを知ったと思い込む。そういった人ほどネットで声が大きい。そんな恥知らずになりたくないのなら、設定くらいキッチリと確かめよう。
