sincerely,

未だ終わらない冬がある、一度も花が咲かなかった春を、迎えることを忘れてしまったカレンダーは破れて読めないが私達は知っている、はずだ鉛の弾がどこから来たのかを、頑丈なテーブルと椅子に一杯の紅茶とケトル、その全てをセピア色に染められる者は誰もいないことを、
日常を日常と思うな、非日常を日常と思うな、思い込まされないよう、雑音と眉を顰められようと声を上げる、小さくてもささやきでも、木立の揺れたてる音にも似た声だ、やがて人々が手を止め顔を上げる音だ。
目を瞑るのは簡単だ想像するよりずっと、まぶたの毛細血管をたどるだけで良い見たくないものを見るには、困難だ想像するよりずっと、剥き出しの荒れた目を視線を現実を直視するのは、
逃げ出したい蓋をしたい避けたい知らなかった振りをしたい! 数万キロ離れた場所で降る雨が呼吸する酸素の一部になると気付かずに。縮小する世界の中でどうやってこれ以上逸らすのか笑うのか分からない、分からないと声を上げる、知らないままではいられず繕うのだって不得手だ、
中身がまだ入っているファストフードの袋、慎重に分配されるパンとスープ、いつだって不平等を叫ぶのは不公平に満たされている連中だ、日めくりカレンダーのスロットじみた日付に飽きて、諦めた日の月はあの弾痕に似ている。

sincerely,

sincerely,

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-31

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted