『私の男』

お行儀よくしていたわ
貴方以外の前では


『私の男』


バレエ教室の帰り道
夕暮れの坂の向こうに海
この時間が好きよ
貴方と指を絡める時間

欲張りなのは性分だから
そこは諦めて欲しいの
ひとりぼっちの貴方を
慰める術だけ知っていた

世界でたった独り
寄る辺なく震える白い指を
温めるみたくギュッと握る
これがアタシの存在意義

いつか転がるみたいに
破滅が待っているのかも
でも怖がらないで
アタシだけは裏切らない

貴方がお爺さんになった時
アタシの気持ちを思い知るわ
どんな姿でもどんな不幸でも
宝箱に隠した玩具の指輪と一緒

大切に大切に引き出しに仕舞うから
永遠に輝くものもあるのだと
しっかり思い知って
またアタシに恋してね


「一生続けば大したものでしょ」

『私の男』

『私の男』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-29

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