「深夜」

 ()をおとした料理場
 アルコヲルラムプ
 摺附木よりは大きく
 摺附木よりか細く
 青く 光は哀しく
 アルコヲルラムプは燃えり
 番頭の片手にのせられ
 番頭の顔は見えず沈黙に隠れる
 彼は料理場に留まるを

 彼の手のアルコヲルラムプは搖らげり
 炎はゆらぐ
 風は無くとも
 我身の軽さと、
 重さに搖れる…止められないで
 番頭の顔はまだ見えぬ
 口元の戸惑も
 目玉に染みるさし迫る冷汗も
 白歯の無邪気さも
 (まみえ)の黒もまだ見えぬ
 片手ばかりぼんやり浮いて
 鱗のラムプをしかと握れり

「      」
  …誰かの声…?

 彼は竦みて我身を抱けり
 ラムプは落ちたる音嘲笑へり
 青い炎は床に散らぼれり
 やがて 彼を抱き締めり

「深夜」

「深夜」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-19

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