肉を 食べたい
食感コルクで
味タイガーバームの肉モドキ
ではない 正直で喋りすぎない
コレクトネスな肉を食べさせる店で
それこそ一頭買い 店長と牛とが
「おいしそうだなぁ」
「店長のほうこそ」
と肩をたたきあって
笑いあうような店で
肉を 食べたい
牛 と言ったけれど
牛肉にはこだわらない
兎肉でも鹿肉でも獏肉でも
宇宙ゲジゲジ肉でも
肉なら何肉だっていいんだ
種族へのこだわりのなさにかけては
全生命へのへだたりのない愛がある
森はことばに燃える
肉Xへのはちきれんばかりの欲
全生命へのへだたりのない愛を理由に
肉欲は
ヴィーガンと宴をたのしむだろう
菜食へ 肉食が似てくるのは
平和と戦争の見分けのつかなさ
差別者と被差別者の曖昧さ
混合プロテインのほろ苦さ
夕焼まぢかの青空の濁り
処理水を搭載したミサイルは
落ちて静かな海水に汚染される
無害な星が欲しいのなら
はやく地球をかち割れよ
朝に見失ったのは
海の深くでまたたく
おまえの胡桃だけだったか

第六回浜松私の詩コンクール静岡県詩人会長賞

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-17

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