「空」

 短き雑草をひきちぎる
 長い雑草をひきちぎる
 ちぎれば不気味にぼとぼと蟲はこぼれ
 黒い真円に
 うすあおい体液の散らばる
 歪な水位が
 踊るやうに
 手を伸ばすやうにうごめきて
 さんざめく
 さんざめく
 何語かは分らないけど
 ゆらめいて
 こっちを見て
 あゝ―いやだ
 土くさい雑草の新たな芽に
 にやにやしながら水をやる
 生き乍らに腹裂かれし蟲達の
 ぴくぴく震える体液はうすあおくて
 既視感(デジャヴ)におびえて空を仰げば
 万感の後悔に首をしめた

「空」

「空」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-07

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