「玉輪」

 お月さまがおひさまな雪のまち
 ヴィオラ弾く少年
 マッチ売る少女
 本読む少年
 絵を描く少女
 路傍に寝る少年
 文字描く少女
 雪は等しくつもります
 赤い煉瓦の家並木
 子らは壁越しに集まって
 べにりんごの頬にこやかに
 マッチを擦りてうたうたう
 …雪の牡丹桜の木の下で
  鶴がいっぴき佇んだ
  地面の雪は彼岸花
  花嫁衣裳の曼殊沙華
  鶴も傷つけた身体よこたえ
  うとうと眠った宵の一番星…
 …マッチをふっと雪が消す
 子どもらはお月さま見て
 「もう帰らなきゃ!」
 またねまたねと手をふりあって
 ゆきんこ達は月のそば
 アンタレス
 カシオペイア
 シリウス
 スピカ
 北十字星
 南十字星
 大空のやわらかい波に抱かれて
 またたいた(ぎょく)の御子ら

「玉輪」

「玉輪」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-06

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