評判、実績、信頼の循環

 オーディオマニアに関する記事のゴタゴタに少し関連する話ですが、旦那のお客様にとんでもないレベルのお金持ちがいます。Yさんとします。Yさん自身はオーディオマニアではありませんが、音楽愛好家で音楽の為に私財を投げ打って様々な活動をされている方です。
 ちなみに、Yさんは◯◯という有名なお店の創業者でもあります。◯◯は、多分誰もが知っているお店です。

 さておき、コロナ前のことですけど、Yさんは大邸宅の片隅にコンサート用のサロンを建てられました。キャパは60ぐらいですが、ピアノをご購入くださり、プライベートコンサートを不定期的に開催されております。収益は求めず、主に若手演奏家の経験の為、環境を提供したかった、と仰っておりました。
 しかし、間も無くコロナの流行が始まり、コンサートは出来なくなりました。幾ら大金持ちとは言え、折角建てたホールをお休みさせるのは辛いのかな……と思っていたのですが、そんなものは杞憂に過ぎませんでした。
 ある日、旦那に電話があり、オーディオの相談をされたそうです。

 実は、コロナ禍の間はコンサートは休止していましたが、YouTube等の録画や録音用のスタジオとして、需要が沢山あったそうです。子ども向けのピアノコンクールも、録画審査なんてものが採用されていましたし、コロナ禍だからこその需要が激増していたのです。
 だからというわけでもないのですけど、元々コンサートの記録をCDやDVDで残したいと考えていたこともあったそうで、いっそのこと本格的なスタジオとしても使えるように、専門的な録音、録画の機材を導入しようと考えたそうです。それに、もしそれをやるなら、コロナ禍の今しかないと思ったそうです。
 これも、営利の為ではありません。むしろ、営利を求めていたら、収支を計算するまでもなく、叶いっこない話なのは明らかです。ただ、演奏家の活動を応援したいだけなのだそうです。
 でもって、主人に相談してきたのでした。

 もっとも、主人も音響の専門家ではありません。なので、相談と言っても、誰かそういう人いないか? という紹介を求められただけです。
 単なる(という言い方は失礼かもしれませんが)趣味として楽しんでいるオーディオマニアなら、私も主人も沢山知り合いがいます。ただ、専門的に事業として関わっている方はそうそういません。でも、一人だけ、関東在住の方ですが、主人のお客様に防音室を設計される方(Mさんとします)がいまして、オーディオや音響関係の仕事もされていましたので、その方に相談したそうです。すると、その後のことは詳しくは知りませんが、とんとん拍子で話はまとまり、Mさん自身が全てを手掛けてくださることになり、コンサートホール兼録音スタジオとして、リニューアルすることが出来たそうです。
 おそらく、数千万円規模の大事業になったようです。音響だけの事業の予定が、打ち合わせを重ねるうちに少しでも良い「箱」に仕上げたくなったそうで、ホールそのものが拡張され、ガラス越しのコントロールルームまで備え、録音機材も超本格的な物を揃えたようです。
 また、Mさんの紹介で、名古屋在住のフリーのエンジニアとも契約出来、定期メンテはもちろん、必要なら録音や録画のディレクターも請けてくれることになったそうです。
 こうして、個人運営レベルとは思えないような、超立派なコンサートサロン兼スタジオが完成しました。ありがたいことに、主人はYさんとMさんのどちらからも感謝され、いやらしい話ですが、Mさんから紹介謝礼も予想以上に沢山いただきました。(注:要求はしていませんので!)

 何が言いたいのかと言いますと、人のご縁なんて、どこでどう繋がってくるのか分からないからこそ、常に真摯に、丁寧に対応すべきだなぁと思ったのです。
 Mさんが直接手掛けてくださるとは思いませんでしたが、Mさんに相談すれば何とかなるかも、と思い付いたのも、主人がMさんのことを、専門家としても人間としても信用しているからに他なりません。それに、お世話になっているYさんの為に何とかしたい! と思ったのも事実です。
 もっと言いますと、Yさんが真っ先に主人に相談してきたのも、同じ構図だと思うのです。
 また、YさんはMさんのことを知らなくても、主人からの紹介ということで、無条件に信じたのです。一方のMさんも、主人からの相談というだけで、Yさんの為に真摯な仕事を心掛けたと思うのです。
 でも、よくよく考えると、これは「逆も然り」なのです。信頼関係の中で、「あの人はやめた方がいい」と話が出ると、精査されることもなく、無条件でその人には仕事が回りません。
 結局のところ、「信頼」は「実績」から生まれますけど、「実績」を重ねる為に「評判」は大きな役割を果たすと思うのです。その「評判」は「信頼」の中から生まれることも多いのです。
 そうです、循環しているのです。その輪の中に入ることは、ビジネスとしても人間関係としても、とても大切なことだと思うのです。

 さて、例のYouTubeの「◯◯管理人」という方は、どうやらオーディオショップを経営されており、なんと、そのお店は愛知県にあるそうです。私の家から車で1時間圏内、前述のホールからでも2時間弱ぐらいの場所です。
 もし、こんな出会いじゃなければ……もっとステキな出会いだったら……今後、こういう話が出た時、ご一緒に仕事に繋げられた可能性もあったのですよね。もし良い関係が築けたのなら、オーディオマニアの方を何人か紹介することも可能でした。Yさんのスタジオのメンテも、お願いした可能性があります。

 ザマァ見ろ、という意図の記事ではなく、「嘘は怖い」と言いたいだけです。「評判」と「信頼」に直結するからです。
 実際に、私は彼の嘘の発信の為にとても不快な思いをしましたので、もしオーディオマニアのお客様とそういう方向の話になった時(実際よくあります!)、あの店のオーナーは……って話、絶対にすると思います。もちろん、あの人のように嘘を盛ることはしませんが、私がされた事実のみ、お話することも出てくると思います。

 社会なんて、どこで誰と繋がっているか分かりませんが、オーディオも音響もピアノも、そんなに広い世界ではありません。どこで誰と繋がっていても不思議ではないのです。だからこそ、捏造とか嘘を発信するのは怖いことだと思いました。

 余談ですが、ネット上に公開されているプロフィールによりますと、驚いたことに、例のYouTubeであることないこと喋っていた「◯◯管理人」という方、1975年11月生まれなのだそうです。
 見た目の判断で、勝手に70歳前後かな、と思っていましたが、ピチピチの四十代でした。
 とても老けて……もとい、大人びて見える方ですね!

評判、実績、信頼の循環

評判、実績、信頼の循環

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-20

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