恋した瞬間、世界が終わる 第73話「Re:あの娘の名前を覚えているか?」

恋した瞬間、世界が終わる 第73話「Re:あの娘の名前を覚えているか?」


夢を見る


昔、よく見たパターンの夢だ


それは学校ーー

 昔、毎日のように顔を合わせた同級生たち
 もうすぐ卒業の時期が近づいている
 “今”が変わってしまうという寂しさ
 私は一匹狼のユルグのよう
 休み時間になったら
 自分の片割れを探している

 場面はコロコロと変わってゆくんだ



 「ーーくん。小説、好きなの?」


 前の席に座っていた女の子が話しかける

 白昼夢のように
 白っぽい雰囲気の中で

 彼女は私の存在に気づいてくれた

 顔は霧に包まれたように見えない

 誰なんだろう?と

 私を捉えて離さない、この青い孤独の正体のように

 失った私の半身の記憶、この世は痛みで溢れている
 
 なぜ、私が“陰”なんだ?

 なぜ、陽ではなかったんだ?

 双子の片割れの悪い方

 マルドゥクで、セトで、ニニギで、ババイで、キュベレーで

 カーテンがいつも
 眼の前で仕切られていた

 だけど、それが祓われてゆく


 ーー眼が覚める



夢の中の時間は少しずつ進んでいる


その物語は編み物のように紡がれている


そして、物語の“卒業”の時期が近づいている


これから冬、そして、春になる

そして、吹雪がまたそれを見えなくするーー



 あの女の人生を、なんとか復元したい

 それが、GIのーー

恋した瞬間、世界が終わる 第73話「Re:あの娘の名前を覚えているか?」

次回は、2月中にアップロード予定です。

恋した瞬間、世界が終わる 第73話「Re:あの娘の名前を覚えているか?」

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  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-17

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