連投とミュート

 今回のお話は、特定の方への批判や皮肉に繋がり兼ねないので、慎重にオブラートに包んで書いた方がいいのでしょうけど、面倒なので大胆に書きます。

 大昔、某SNSである方のフォローを外しました。まぁ、それだけだとなんてことのない話ですけど、その理由がなかなか切実なのです。実は、その方、毎日何十回と投稿していたからでした。
 インスタやXのような「ミュート」機能が実装されていれば良かったのですけど、生憎、小規模のマニアックなSNSなので、ブロックかフォロー解除しか術がなかったのです。
 小さなSNSなので、ユーザーそのものも少なく、フォローしている人なんて十数人というレベルの閉鎖的な世界でした。しかも、全ユーザーの半数以上が相互フォローの関係になっているような感じで、別にフォローなんて必要のないレベルでした。
 そこには、知人に誘われて登録したのですが、直ぐにフォローしてくださった方がその人でした。仮にAさんとしましょう。フォローなんて必要のないレベルの小さなSNSとは言え、私もそれほどSNS慣れしていない時期でしたし、やはりフォローされたことは嬉しくて、何も考えずにAさんをフォローバックしたのですが、失敗でした。
 Aさんは、かなりマメなユーザーでもありました。皆んなの投稿を丁寧に読み、必ず的確なコメントを残してくださるのです。また、自分の投稿に対するコメントにも、丁寧な返信を怠りません。noteの「スキ」にあたる「いいね!」も欠かしません。
 ただ、連投癖が洒落にならないレベルなのです。

 Aさんのプロフには、自ら「毎日沢山投稿するので適度なスルー推奨」なんてことも書いてありました。でも、新参者の私にも分け隔てなく仲良くしてくれる、という恩義もあれば、そこで出来たお友達全員もAさんと親しく交流している、という背景もあり、なんとなくスルーし難い空気感もありました。
 また、そのSNSのドンのような存在でもあるAさんは、発言の影響力も次第に大きくなり、何となく仲良くしておかないと……という、浅ましい防衛本能も働いていたのです。
 その後、Aさんの連投癖はますます酷くなっていき、同時にとんでもない勘違いをするようになりました。と言っても、それは私がそう感じただけなのですが……皆んなが自分の投稿を楽しみにしている、と思っているような発言が増えてきたのです。

「お待たせしました! 前回の続きです!」
「フォロワーの皆んな、今日は投稿のペースがゆっくりでごめんねー」
「明日は十時から三十作、一気に投稿するのでお楽しみに!」

 といった感じになってきたのです。多分、誰もろくに見ずに「いいね!」を押しているだけ(だと思う)なのに、毎回沢山の「いいね!」が集まることを、最大限にポジティブに受け止めていたのでしょう。

 他のユーザーの投稿は? と言いますと、実はAさん以外のユーザーは、私も含めて数日に一回投稿するかしないか、という更新頻度でした。なので、SNSを開くと、タイムラインにはAさんの投稿だけがズラーっと並ぶ異様な感じになっていたのです。
 当時フォローしていた方で、大好きなユーザー様がいました。Bさんとします。Bさんとは話の波長が合うというのか、趣味が似ているというのか……Bさんも更新頻度は高い方で、ほぼ毎日、1〜2回は更新していましたが、それぐらいは常識の範疇だと思います。
 私は、Bさんの投稿だけは見落とさないようにしていたのですが、いつしか、タイムラインからBさんの投稿が消えました。Bさんのページを訪れてみますと、「カオスからの脱出、しばらく様子をみて、改善されなければ退会します」と書かれていました。そして、過去の投稿は全て削除されていました。
 きっと、BさんもAさんの連投癖に思うことがあったのだろうな、と想像しました。私と違い、Bさんはご自分でも投稿されていましたので、尚のこと、イラっとしていたのだと思います。
 少しお話したかったのですけど、DM機能なんてないSNSですし、コメントの返信通知もなかったので、確実にBさんと連絡が取れる術はありません。機能の都合上、私の過去の投稿のコメント欄でコッソリと、というわけにもいかないのです。
 そして、何気にBさんのフォロー一覧を見てみますと……予想通り、BさんはAさんのフォローを外していました。それを見て、私もようやく踏ん切りがついて、Aさんのフォローを解除しました。
 また、これは本当に偶然なのですが、大して親しくはないものの、一応私ともBさんとも相互フォローになっていたCさんという方も、同じタイミングでAさんのフォローを解除していたのです。
 Aさんがブチ切れしました。

 最初は悲劇のヒロイン気取りでした。私達の名前を出さず、「三人の方につるんでハブられた」という投稿をしました。確かに、私はBさんが解除したことを知って、後を追って真似たに違いないですが、つるんで行ったことではありません。Cさんに至っては、本当に偶然です。
 でも、Aさんは三人が計画的にやったことと思ったようです。もっとも、タイミング的にそう思われても仕方ないのかもしれないですが。
 その後も、Aさんの愚痴は止まりません。いつしか、三人の名前も出して批判を始めました。私とCさんの過去の投稿のコメント欄に、直接文句を言いにも来ました。
 しかし、荒ぶるAさんを見て、更に数人がフォローを解除したようです。私もBさんもCさんも、何も話し合ってはいませんが、徹底的に無視しました。多分、私以外はログインすらしていなかったと思います。
 私も、特に重要なSNSでもないので、ログアウトしてしばらく放置することにしました。別に、どうなっても痛くも痒くもないSNSですし、そもそも私を誘った友人(mixiのマイミクさん)も滅多にログインしていないし、唯一仲の良かったBさんもログインしてなさそうだし、Aさんとの付き合いに疲弊していたし……距離を取ってみて、ようやく気付いたのです。
「ここ、何にも楽しくないじゃん!」ってことに。

 数日後(数週間後だったかも?)、久しぶりにログインしてビックリしました。なんと、Aさんのフォロワーが激減していたのです。おそらく、ユーザー登録そのものも減っていたのでしょう。
 あと、わたしのコメント欄にAさんが何回か苦情を書き込んでいたのですが、色んな方がそのフォローをしてくれていました。Aさんへの苦言も沢山書き込まれていました。
 Aさんはと言いますと……アカウントは見つかりましたが、数日間、何も投稿していませんでした。残念ながら、BさんとCさんは既に退会していたようです。
 これで、平穏なSNSになるのかな……と思ったのですが、その予想も外れました。完全に過疎ってしまったSNSは、それから半年も経たずに、突然サービス終了になりました。良くも悪くも、賑わっていたのはAさんのおかげでもあったのです。
 まぁ、見方を変えればそこまでのSNSだったに過ぎません。

 と、長い前置きになりましたか、いよいよここからが本題です。
 SNSの連投は、どれぐらいまで許されるのか? という話です。

 結論を言っちゃうと、皆んながマイルールを持てばいいだけのことで、全然平気な人もいるでしょうし、十連投ぐらいされると辛いなぁ、って方もいるでしょう。五連投でも許せない! って方もいるかもしれません。
 ただ、noteなど比較的大きなプラットフォームですと、フォローを解除すれば済む話でもあります。つまり、ストレスを抱えてまでフォローする必要はないのです。
 それで済む話と思っていたのですが……そうでもないようです。

 その前に、個人的な許容の目安を書いておかないとフェアじゃない気がしますので、簡単に書いておきますと、好きなユーザーさんなら、何連投してくれても大丈夫です!
 でも、そこまで親しくない方は、具体的な数値はないですけど、ストレスを感じたらフォローをやめるでしょうから、逆に言えば、現在フォローさせていただいている方の現状の連投ぐらいでしたら、全く気にならないレベルだとお考えください。現状、「え?」と思う方は一人もいません。
 一応、具体的な数字を上げますと……と言っても難しいのですが……あくまで目安として、三十分ぐらいの間に十連投ぐらいされると、タイムラインが占有されるのでキツいかな、と思います。
 そう、要は連投はタイムラインを占有されることだけが問題なのです。

 私の場合、無闇矢鱈とフォローしないようにしていますので、その分、フォローさせていただいている方の投稿は(なるべく)目を通すように心掛けています。そんな中、もしお一人で何十個も連投されると、他の方の投稿を見落としてしまう可能性も出てきます。
 そもそも、一日でnoteを開く時間も限られており、なかなか全部に目を通せなくなってきていますので、あくまで『私の場合』ですが、私のタイムラインが占有されない程度の連投なら、全く気になりません。
 で、嫌ならフォロー解除すれば……と思っていたのですが、noteで読む記事は、タイムラインに流れてくるものだけではないのです。

 今月は、あるユーザーさまによる「◯◯文学賞」というイベントが開催されております。私も毎日一作ずつ投稿していますが、この賞への応募専用のハッシュタグをタップすると、応募作品が一覧表示され、普段は交流のない方の作品にも目を通すことが出来るのです。そして、それが最近の私のnoteの楽しみでもありました。
 しかし、この一週間ぐらい、この文学賞への応募にすごい量の連投をされる方がいるのです。その方のページにお邪魔して調べてみると、約一週間前からこの賞への投稿を開始し、今日までで約三百作も応募を行っています。
 つまり、およそ一日四十投稿。前述した三十分程度で十投稿ぐらい、という目安に当てはまるかどうかは分かりません。でも、タグで検索したときのページをほぼ占有してしまうこともあるのです。更新頻度や数じゃなく、ページの占有が問題なのです。色んな方の応募作品を読みたいのに、タグから検索すると、その方の投稿がズラーっと並ぶのです。

 一作品一投稿にしたい気持ちは理解出来ます。でも、流石にやり過ぎと思われても仕方がない数の連投は、気にしない方もいるのでしょうけど、迷惑行為と受け取る人もいると思います。
 見なければいい、と言ってしまうとそれまでですけど、単に不快なのです。フォロワーさんも、迷惑しているんじゃないかな? と思ってしまいますし、フォロワーさんの迷惑を考えることさえ出来ない方なのかな? と勘繰ってしまいます。タイムラインを占有してしまうことに、何の罪悪感も配慮も出来ない人なのだと思ってしまいます。もっとも、そういう方は私は絶対にフォローしないのですけど。
 もちろん、その行為自体は規約違反ではないでしょうし、見なければいいだけってことも分かっています。でも、その方が投稿するようになって、タグ検索での表示にげんなりするようになりました。

 ということで、話は飛びますが、noteにはミュート機能を実装して欲しい! と強く思うようになりました。
 noteのブロックは実質的に形骸化しており、その人をブロックしたとしてもモヤモヤは解消されませんし、何も解決しないのです。だからこそ、せめて見たくない記事や、見たくない特定のユーザーの記事を非表示にする機能は、SNSには絶対に必要だと思います。

連投とミュート

連投とミュート

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-12

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