薬局にある象の遊具

落花生みたいな宇宙飛行士が
国際宇宙ステーションへ移った日
雲が紫色だった
こどもを連れ 薬局の前を通る
オレンジ色に塗られた遊具が置いてある
佐藤だか加藤だか そんな名の象の遊具
こどもは象の遊具に乗り
ゆさぶる
ゆさぶろうとも五十円玉は持っていない
でも こども ゆさぶる ゆさぶる
五十円玉はないのだとわからせたく
五百玉をいれる 真似をする

あっ 手がすべる
象の遊具にすいこまれる五百玉
ふるえだす象の遊具
予想と違い
種子島とかヒューストンからの
中継映像みたいな轟音で
ふるえだす象の遊具
やがて白煙
 の向こうに消えるこども
〈スリー ツー ワン ゼロ〉
打ち上がる象の遊具
空へ
紫色の雲は散る
大空へ
高さは距離になり 豆粒は
宇宙へ

こどもを打ち上げてしまい痛む胸
薬局に入り もらう 痛みどめ
有効成分配合
飲めるのは一日三回まで
空を見上げるのは
一日一回まで

薬局にある象の遊具

薬局にある象の遊具

第四回浜松私の詩コンクール一般の部浜松市長賞

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-10

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