ナーサリーライム・ユーフォリア
おはなし
おとぎ話の生き物の血を引く少年少女たち。先祖返りの彼らは大人たちから奇病とみなされ森の奥のサナトリウム『ナーサリーライム』に隔離された。
吸血鬼の血を引く少女キャンディも『ナーサリーライム』で過ごしていた。ある日、キャンディにプレゼントが贈られる。それはただの人間の少年アリス。アリスはキャンディの生き餌として『ナーサリーライム』に送られてきた身寄りの無い少年だった。
『ナーサリーライム』は日中は子どもたちの安らかなサナトリウム、夜は高級娼館になる。奇異でありながらも美しい見目を持つ子どもたちは、一部の好事家たちへ接待を行ったり、体の一部を競売にかけられたりしていた。
『ナーサリーライム』を作り出したのは魔女のドロレス。彼女は大人に翻弄されて生きてきた、愛を知らない不老不死の少女である。純粋な人外である彼女は、寂しさから人外の血を引く子どもたちを集めた。だがその愛は歪んでおり、子どもたちを大人たちの食い物にすることを愛だと思い込み、そして『ナーサリーライム』の時間を止め、子どもたちを何百年も閉じ込めている。
人間の少年、アリスがおとぎ話の世界に訪れたことで、子どもたちの時間がゆっくりと流れ出す。
こどもたち
キャンディ
14歳
吸血鬼の血を引く少女。今まで『ナーサリーライム』の子どもたちから少しずつ血を分けてもらい生きてきたが、アリスと出会い彼を怖がりながらも知りたいと思うようになる。
夜の名前はリリス
アリス
14歳
ただの人間の少年。名前も身寄りも無かったところをドロレスに『ナーサリーライム』に連れてこられた。キャンディに血を与えることを生きる意味と信じ、彼女に受け入れてもらうために必死。
夜の名前もアリス
フローラ
13歳
体から花が生え、時折花を吐く少女。クレールの双子の姉。花を吐くため常にふらふらとしており、いつも弟のクレールに寄り添ってもらっている。
夜の名前はジャスミン
クレール
13歳
体に宝石の結晶が生え、涙が宝石になる少年。フローラの双子の弟。泣き虫だが、姉や子どもたちを支える優しい性格。ノアとは恋人同士であり、いつか彼の瞳を見たいと思っている。
夜の名前はスターチス
ノア
14歳
見つめたものを石に変えてしまう少年。目隠しをしているため、杖をついて生活をしている。子どもたちの中では大人びているが、甘いものが好きな可愛らしい一面も。クレールとは恋人同士であり、永遠に一緒にいたいと思っている。
夜の名前はイベリス
ゲルダ
15歳
人魚の血を引く少女。下半身が魚の姿をしているため、車椅子に乗って生活をしている。無口でやや情緒不安定。アリスに一目惚れしており、キャンディにほのかに嫉妬心を抱いている。
夜の名前はマーガレット
リーリエ
11歳
白い翼を持つ少女。『ナーサリーライム』の中では年少者のみんなの妹分。読書が好きで、夢見がちな性格。涙の宝石をくれたクレールをおにいさまと呼び慕っているが、クレールとノアの関係も知っている。
夜の名前はフェリシア
イワン
15歳
狼男の血を引く少年。満月の夜に狼に変化し、破壊衝動を抑えきれなくなる。自身の衝動を恐れており、子どもたちを遠ざけている。エミリオには心を開いており、毎晩彼に眠らせてもらっている。キャンディのことが好きだが、アリスと幸せになるべきだと思っている。
夜の名前はルピナス
エミリオ
15歳
頭から羊の角が生えた少年。その声を聞いた者は深い眠りに落ちてしまうため、普段は声を出さず筆談や身振り手振りで話す。彼の声は幸せな夢を見せる。イワンに自ら近づき彼の破壊衝動を落ち着かせ眠らせたことがあり、今では彼とは親友と呼べる仲。
夜の名前はポピー
ドロレス
不老不死の魔女。外見15歳
他の子たちのように人間の血が混ざっているわけではない純然とした人ならざる者。永く生き続ける寂しさに耐えきれず『ナーサリーライム』を作り上げた。
夜の名前はロリータ
アスターとシルベチカ
子どもたちの世話係。20代前半の大人の姿をしている。顔以外の肌を見せず、喋ることもせず淡々と炊事洗濯、子どもたちの世話をする。
ドロレスが作った動く人形。
ナーサリーライム・ユーフォリア