無題。

目の前にいる人達と支え合う。過去から学べば、それが最も正しい道だとわかるはずなのに。
意識的に作り出した罪を負って、憐憫と甘受にだけ浸って、その愚かさは直らないのだと自らに決まった。
何もを覆せない。機会すら私は与えたくないのだ。お前を欠片も許してなどおけない。今までの狼藉は全て捨てることで許されたいと願ってしまっているのだから。勿論、勿論その程度のことで何かが少しでも許されるなどと、考えてすらならないことだ。わかっている。所を変えた痛みなど贖罪にはならない。痛みを貰うことが贖罪ではない。痛みを感じたところで何の役にも立ちやしない。贖罪という言葉すらあまりに空想的だ。わかっている。それでも、どこかにそんな価値観を持つ誰かがいて、それには名称がある程にかつては一般的で、そんな概念に、少しでも肖り、縋りたくなってしまう。言い訳を求めて生き、その為に死ぬのだ。
その哀れさ惨めさを笑っていたくなるけれど、そんな些事すら書き留めねばならないことこそ、最も哀れむに相応しい事柄だろう。
それに、これは儀式だ。道を切り開くような、物語じみた終幕の為の作業だ。好悪も不要な程に定まった手順がある。ただそれだけでいい。何もかもが手遅れで、元に戻ることはないのだという当たり前の事実が、そのことを盤石にする。何があろうと覆らない。それが私に安心と冗長を招く。同時に、願ったように私を縛って突き動かす。
今までのルールを逆流させ再利用するのだ。ああ、お前の全てを恨み呪うけれど、最後に少しは笑えたよと鏡中の私は言うだろう。そう。これは、お前を納得させる為のものだ。作り物だ。かつての、今までの価値観達は、切れ目ひとつ見えない程重なりあった。手を翳してみた王道とはかけ離れた舞台なれど、劇は劇。予定調和だ。


思考をなぞるように、思い出すように、言葉を並べていく。それは現状確認であり、忘れっぽさを憎む、私の癖だった。
こうして笑う為に、たまに、とうに捨てたことのような中途半端を言いたくなって、直接的で詰まらない表現で包装することに付き合ってあげる。私は私の為ならどこまでも許せて、私の為なら何もかもを使いかざせるようだから。
ここは、原動力と命令者が逆転しているだろうか。
いいえ、何がどうであれ、構わないことだろう。

無題。

無題。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-11

Public Domain
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