平和軸 一虎くんに彼女がいたら 最終話
最終話「俺の嫁は一生お前だけ」
付き合って9年目の秋、俺たちは区役所に婚姻届を出した。
「これからもずっと一緒だ。よろしくな」
「うん、こちらこそよろしくね」
“これからもずっと一緒”……俺はそう思ってた。死ぬまでずっと一緒だって。
でも、別れは突然訪れた。俺の隣を歩いていた梨奈が倒れたんだ。
「梨奈!梨奈!」
すぐに区役所の人間が救急車呼んだんだけど、梨奈は死んでしまった。
後から知った話だが、梨奈は心筋梗塞の末期だったらしい。医者が言うには「来るのが遅すぎた」って。
なんだよ……ずっと一緒だって言ってたじゃん。ずっと誕生日祝ってやるって言ってたじゃんか。
梨奈との結婚式費用は葬式費用に変わっちまった。葬儀には千冬と場地が来てくれて俺の代わりに葬式のこと全部やってくれた。あいつらなりにちゃんとやってくれて助かった。俺は喪主だけど精神がそれどころじゃなかったから。心がついて来ねぇっていうの?死んだことも信じられなかったし……。
梨奈は正式に結婚した後だったから羽宮の墓に入った。俺の嫁になったのにすぐに墓に入っちまうなんて。もっと早く籍いれてあげたほうがよかったのか?
梨奈が死んでから3ヶ月後。俺は夢を見た。結婚式の夢だった。
俺の花嫁は誰だよって思ったら梨奈だった。今まで見たことないくらいに満面の笑みですげぇ綺麗なんだ。
ピンクの花が舞う中、俺たちは式を挙げた。本当はリアルで挙げるはずだった式を。
その夢を見てから俺は前を向くことを誓った。前を向くつっても、俺の嫁は一生梨奈だけだけどさ。
ー完ー
平和軸 一虎くんに彼女がいたら 最終話