平和軸 一虎くんに彼女がいたら 第6話
第6話「初めての2人の夏休み」
夏休み。受験生だからあまり遊べないんだけど、とらとは勉強を口実にずっと一緒にいた。
そんなある日、とらがある一言を言った。
「あー、どっか遠出してぇかも」
「遠出?」
勉強に飽きて現実逃避したくなったんだろうな。私はちょっと考えて案を出す。
「じゃあ、ひまわり畑行こうよ」
「は?ひまわり畑?」
「うん、あ、所沢が近くて今見頃だよ。明日にでも見にかない?」
「明日?いいけどさ」
と言うわけで、私たちは所沢のひまわり畑までデートすることにした。
私は普段はつけない甘めの香水をちょっとだけつけてとらとの待ち合わせ場所に向かう。
20分前にも関わらず、とらが既に来ていた。
「おはよう。眠れなかったの?」
「そ、そんなんじゃねぇし。ほら行くぞ」
「ふふ」
早めに来てまで楽しみにしていた感が否めないとらが何だかかわいくて笑ってしまった。
ひまわり畑には1時間40分で着いた。乗り継ぎ乗り継ぎでちょっと疲れてしまったけど、それでもとらと遠出デートできて嬉しい。とらも同じだったらいいな。
2人で幻想的なひまわりに囲まれて、幸せだった。時々、人目がないのを見計らってキスをした。幸せな時間はあっという間に過ぎ、帰る時間になる。
「梨奈」
「ん?」
「今日ずっといい匂いしてたけど、香水つけてんの?」
「そうだけど?」
「俺、この匂い好きだぜ」
「ほんと?」
「うん」
とらが首筋にキスした。首筋って何だかえっちな気がしてドキドキする。
「さあ、梨奈のお父さんが帰る前にちゃちゃっと帰ろうぜ」
「うん」
私はとらの華奢な指に指を絡めた。
平和軸 一虎くんに彼女がいたら 第6話