「冬の空」

 とぼんとした顔をして
 ぼうと流れる雲
 灰色で
 川の瀬の如く激しく流れている
 とぼんとした雲が
 ぼうと流れる
 きょとんとした雲が
 ぼうと流れる
 雲
 雲
 地平線這う不思義なおろち
 その恐ろしい灰色の鱗は噴火の名残
 はらわたに宿すは濁流のとどろき
 吐く舌は大地の震えで揺らめく
 とぼんとして
 きょとんとして
 目無き灰色のおろちは肉体を果無く伸ばしたり
 その雲は
 雪を秘める雲である
 黒はすべてを混ぜると言うが
 白はすべてをくるむらしい
 見よ
 もう冬だ

「冬の空」

「冬の空」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-08-29

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