夜の帳5

エピソード34

さぁ、今夜窓の外はしとやかに雨が降っているけれど、外からの月明かりがカーテン越しにすけているわね?
ほの明るい光が温かくて心が和むわね?

そうね、今夜は月にまつわる話をしようかしら?


ふふふ、決めたわ? 
甘くてちょっぴりスパイシーな話ね?

昔々のおはなしです
とある離宮に神とも呼ばれる神々しい存在の方がいるのだけれど、その部屋の水かがみからじっと人間を見つめているの。
どの子がどんな心を持っていてどんなカラーで生きているのかを、胸の光から溢れている愛をみているの。

その神様は、執事の少年が林檎を部屋に持って来てくれたので、少年の頭を撫でてお礼にお話を聞かせてくれたの。
「おいで、少年、赤いリンゴを育ててくれてありがとう。代わりにわしが話を聞かせてあげようね」
「ありがとう、おじいさん」
そういって、少年はニコやかに正体がわからない優しいおじいさんの神様にお礼を言いながら話を聞き始めたの。

「君もいずれ大人になる、その時の為にわしが教えておいてあげよう、とある寓話をね」

ある男が夢を見たのだ、それは湖で心を遊ばせている女の姿だ
夢なのだからと思うのだが、妙に情景がリアルなのだよ
もしかしたら本当に夢に見たような美しい湖があるのではないかと旅に出るのさ

長く険しく黙々と湖と女を探して歩くことに反して、それはなかなか愉快な旅となるんだ。
森に迷い込んでは、叡智宿る珍獣と話をして怪我が癒える血と天候の変わり目を見分ける方法を得たり、時に海の神に荒ぶる嵐を軽減するように交渉して、引き換えに食べ物と自らのエネルギーをささげるのさ。
でも、そうまでしてもこの男は夢で見た女こそは運命の相手だと信じて疑わない。
進み続けるんだ、それほどまでに自分の中には価値がある夢なんだよ。

だんだんと、この男の純朴な夢を応援する仲間が集い始める。
険しい道を歩むはずなのに、どこか楽しくも感じるのさ。
この経験こそが、仲間こそが、まだつかめぬ夢こそが、この男を成長させるのさ。
心を素直に開く事で実現するすすむ姿勢こそが大切なんだよ。
それこそが、夢で見た湖の命を維持する淡水であり、そしてその夢を側で支えてくれる女こそがその夢見た運命の相手なんだよ。

そうして成長を遂げた頃、その女と添い遂げるといいさ。

少年は、不思議そうな顔と晴れやかなにこやかな顔をして頷く。

「君の旅が、冒険であり美しい人生である事を祈るよ」
「ありがとう、おじいさん、きっと思い出すよ」

そういうと、神は赤いリンゴにかじりつく。
密の甘い芳醇な味が口に拡がる。
人間に幸あれ!そう呟く。

そんなお話を、月の宮殿の図書館で読んだのよ?

まだ続きがあるの。
明日は、神が見ている水かがみについてのお話ね。

ふふふ、では、ごきげんよう、私のスルタン。

エピソード35

さぁ、スルタン、始めましょうか。
そう言ってエメールがあらわれる。

今日は、神が水鏡で見ている未来についてお話をしようかしら?
ふふふ、緊張しちゃって、聞くのが楽しみなような怖いようなですって?
当り前じゃない、この世は相反するものや感情が揺れあい反応し合い、中庸を目指しているのだから。
いつかフラットな感情や状態になればいいのよ?

では、離宮にいる神が見ている世界を私が読んだ本からご紹介するわね?

それは、大きな大きな楕円形の鏡なの、水のように揺ら揺ら反応や写りを漣のように変えては、各惑星の映像を伝えてくれるらしいの。
神と言われる存在は、鏡に入り出入りを行い、そこに立つこともできる。
神はとても多くの魔法を使われるから、いろんな姿に変身が出来るの。
例えば、天空を泳ぐ龍だったり、または火の鳥の様な不死鳥のときもあるわね?
そうして、姿を精霊に身をやつしてご覧になるの。
そうしてその泳ぐ姿の痕跡として人間には虹に見えたりもするのかしらね?ふふふ。
昔から言うでしょ?その様子が見えるさまを瑞兆や吉兆と?


前に話したわね?
翠龍と紅龍の話を?
姿は何かしらと?答えは神の変身したお姿よ?

そうして、今各惑星をご覧になり神が感じていることは、大きな変化が起こっているという事ね。
時間や時空や次元を操る事まで進化した星は、良い方向に変わり始めている。
もうこれは地球から見たら何千年も前の話だわ?
不思議でしょうが、時間を操れる星なのだから。
今、遅れて地球はこの後を追っているのよ?
目には見えなくても、宇宙にはたくさんの次元があるの。
地球も今が安定と平和に舵を切るための大事なバランスの時期ね?ふふふ。

さて、人間の中にはきらめきが大事よ?
勇気と閃きと愛と、これらが高いほど胸からまたは魂が光って見えるの。
良いお色になれば、だんだんと素晴らしい魔法が使えるようになるわ?
たとえば、予知夢をみたり、ピンとくるという現象があるのかしら?
文明の利器も良いけれど、自分の本能にもたまには目を向けて欲しいわね?

いろんな魂の色の子を使役し、いろんな考えを放ち、どんな現状かを神は色で見分けているの。どんな信条をもっているのかを。
けれど、良い子や悪い子を使役して、だんだんと良い思考から、現実的な思考の子、悪い思考の子へと真実とエネルギーが流れていけばいいの。
何を信じて取捨選択捨して生きて行くか、それは各自の自由よ?
そんなお考えを持たれているの。

ただ、この使役されたことを胸に生きていく事で、未来と魂の住んでいく世界が変わっていくのだと以前に話したわね?
2年遅れかしら?
色んな子が理解するまでに要した時間ね?

さぁ、どう生きたいかしら?
それを胸に刻んで一所懸命いきなさい?

自分でそのような生き方をすればいいのよ?
愛を拡げたい子はすればいいし、胸に秘め良い生き方したい子はそうする子もいるでしょう。
ただ愛を拡げるのは何時の時代も危険がつきもの、聖キリストのように。

それもまた中庸を目指す為のバランスのようなものね?
では、ごきげんよう。

夜の帳5

夜の帳5

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-08-28

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