はきだめ集
自分の言葉で喋るって難しい。こうして書いてる文章もどこまでが自分の言葉かなんて分からないし、誰かの受け売り?と聞かれても「ここに私の言葉なんてありません、すべて人から奪ってきたものなので。」としか答えられない
火を付けることすら億劫になった煙草は湿気った空気のせいで日に日に不味くなっていくしこのまま副流煙で死ねたらよかったのに、なんて考えている間に君は煙と一緒に換気扇の下へ逃げる。半袖で外に出るのが肌寒く感じるようになってきた頃、この寂しさが心地よくて私のことはこのまま独りにしておいてと暖かい声のする方に向かったらそこにあったのは火でも煙でもなく割れた花瓶だけ
その名残をお守りのように抱えるあたしは墓守にでもなったのかな
またひとつ安らかな死から遠のいて
生きてるだけで救いになる存在って大きかった。押し付けがましい祈りを捧げながら生きていたけれど今じゃそれも何のためのものなのか分からない。幸せに過ごしていてくれるだけで良かった頃の救いの無さが消え、空っぽの祈りだけが残って、散らばった言葉と一緒に海に流れていった時 しがむように掴んだ手の温かさを思い出しながら浅い眠りにつく。
至るところに散りばめられた悪意を掻き集めて私を構成してみせてという願い
人に借りた本を返せる人には一生敵わないしあなたは私に呪われてはくれないんだねという寂しさ、いつまでも自分が他人に囚われ続けてるということの浅ましさに当てられる瞬間
きゅるきゅる私性格悪いからあなたの前で涙を見せたりなんてしない
今もこうして生きることが出来ているのは信じた先に恵まれていただけで、死までの道筋を今も示し続けてくれているけれど足元はずっと影すら見えないままで
すべてが骨になるまで本当の意味で何かを許せる日なんて来ないけれど救いのなさまでわかつ必要もないのだから
はきだめ集