夏の最中2023

卒業式来ないんですか?の連絡で知る我が世の春の終わり

先生の下の名前を知ってるの私だけではなくなる放課後

「金木犀って名前、得してる」「キラキラネームな気もするけどね」

寝なくても良いなと思わされた夜 潮騒ただただおれと言い寄る

五月雨の乱れていない空白を探しに行くわよ風邪引くわよ

月の香りは地元の海の香り知らない人しかいない夢

「ごめんね、結婚式に呼び合うぐらいの友達に戻りましょう」

「死にたいとか気軽にいうな、昨日スープカレー屋行ってたくせに」

「まんまるにひとつ足りないお月様永久歯抜けたみたいな顔」

「酒飲みの悩みが闇に溶けてゆき私に染みて私は病むの」

布団から出たくないほど寒い日はひの字のあたたかさをなぞるの

天の川の底に落とす純恋歌悪戯に濃い目が乾く藍

墜落しろ シートベルトに包まれて機内モードにつまらぬ遺言

ありふれた平和に初めて触れたのは合掌後のビニール二層

古書店の棚いっぱいの赤本の努力の後は売れずに残る

骨刺さる君の喉さえ触れない梅雨のおすすめ確かさばさば

歯磨きの順番飛んでいくぐらい美味い魚とパンチラ見た日

年一の爆発寝癖に居る鳥はメリージェンって名前の親友

趣味昼寝高校二年の六限の化学の机 眠気のピーク

アリ食べた味忘れたが何回も 無垢の巨人だ!1300級!

クーラーの音がうるさい「僕はうんこ味のカレー」クーラーの音

満開のハイファイブの音つつみ五分蕾に戻る熱で浮けば冬

君の喉傷つけぬようお豆腐の(ふざけ半分)角を削るまる

一生のお願い何にしようかな 井の中の蛙永遠しか知らず

冷や奴くずし「ゆひら」と微笑めば道産子ギャルも頷く夏よ

サイレンが夏に極彩上塗れば 扇風機強「ねえちゅうしましょ」

ころんでいたいのいたいのとんでって シャボンに当たり壊れて、泣いた

夏の最中2023

夏の最中2023

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-07-31

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