オレンジアンコウ

 キャスター付きの心で駆ける。
 どうしてもあそこの麺が食べたいと言って。

「へそからつゆが出そう」

 オレンジ色をしたアンコウが、遥か2500年先の夜の闇へと泳ぎ出す。
 何もないけどなんだかきらきらしていたよ。
 渋い茶色の革靴が、まるでカナブンみたいに綺麗でさ。

 君の靄だけを引き連れて歩く夜は、とりあえずまぁきらきらしているよ。

 ひがりがい。星が輝くことはない。
 憂さ晴らし。彷徨うだけで進みはしない。

 なんとなく手を出した期間限定品に、なんか違うと思わされるね。

「お先にオレンジアンコウとともに…」

 今頃、そうなんでしょ?

オレンジアンコウ

オレンジアンコウ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-07-27

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