「白羽の矢」

 燃ゆる茎根よ
 燦然たる花よ
 土はなんだ
 むせぶ白百合の匂い
 白い花びらに沈む者は
 一生心のこやしとなる
 うつくしき花一輪

 月が出た
 白くて細い三日月だ
 今わたくしの眼前に
 弦となって
 弓が一矢放たれた
 それは
 どこかの旅人がわたくしに放った
 白い(ふみ)
 わたくしも
 わたくしだけの白い文で返事をしよう
 互いはきっと
 濃いとうめい色の水が欲しいのだ

「白羽の矢」

「白羽の矢」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-07-10

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