影が見つかったらしい

「影が見つかったらしいよ。膵臓だってさ」電話の向こうで彼女が僕にそう告げた。

あの人が不安を抱いている顔を想像しながら、僕はそのことに理解ができないでいた。

なんでそんな顔をするんだろう。当然のことじゃないか。
そうならないと感じないこともあるのかもしれないよ。

さまざまなことが僕の理解を超えていく。

予期せぬ出来事は、予期せぬ時に、どこからともなく大きな音を鳴らしてやってくる。
その音が聞こえると、僕の心臓の鼓動はどんどん速くなっていく。

「悪いことは重なるなあ」そんな歌詞が今まで以上に僕に寄り添いだす。

影が見つかったらしい

影が見つかったらしい

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-07-02

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