「過去を喰らう」第3話

プロローグ

雷炎狐(らいえんこ)。
私の使い魔の名前だ。
…10人くらいか…。
花恋「ステップトリーダー。」
「なんだ!?女が消えたぞ!ギャアアア!」
よし、目ん玉えぐりとってやった。
花恋「相手間違えてんのよ…。私、魔女の中では一番早いのよ?」
さて、質問させてもらおうか。
花恋「アンタら魔女狩りでしょ?なんで私達が見えるの?」
一斉に撃ってくる。当たれば即死とも言われる弾が何発かある。
でも、全弾じゃない。
作るのにもコストがかかるみたいね。
あったあった。
私は目視で確認できるし、避けれる。
へえ…綺麗ね…ブルーダイヤモンドみた――。
花恋「そうか…!ブルーダイヤモンドだ!」
全弾避けきってステップトリーダーを解除する。
ステップトリーダーは雷の速度。
秒速150㎞〜200㎞出せる。
まっ、使い過ぎは厳禁だけど!
ルピ「花恋!」
夜雨「花恋さん!」
花恋「二人とも、下がって。あとこれ、あげる。」
私はポイッと球体を投げ捨てた。
ラプラス「うわぁ!目だ!」
花恋「ラプちゃんも下がりなさい。」
目ん玉にブルーダイヤモンドが埋め込まれてたら私死んでたわ。
ヒヤヒヤした。
でも――これで解決したわ。
とりあえずこいつら10人を一撃で倒す。
抜刀術――
花恋「リターンストローク。」
その速度、秒速10万km。
魔女の特殊な衣装がなかったらとっくに私は消し炭だ。
花恋「私の刀は特別でね。雷炎狐っていうの。刀に使い魔が宿ってる。だから燃えても切れ味に問題はない。というかこの子が燃えてるって感じだけど。」
私は刀を収める。
「何をした!?」
敵はまだ分かってないみたいね。
夜雨「…なんで足を狙ったんですか?」
…は!?
花恋「今の見えてたの!?ハハ…でもまあいくら君でも…避けれるわけないよね…」
夜雨君の顔を見ると、ちょっと強張っている。
そんな怖い顔してたっけ私?
ああ、決め台詞だけは言わないと。
花恋「neutralization.」

呪いのダイヤモンド

魔女狩り達の膝が斬れる。
「ぎゃぁ!」
花恋さん…強い…!
ルピ「さて…こいつらをどうする?花恋。」
花恋「喰らわないわよ?死んじゃうからね。」
…?どういうことだ?
花恋さんは、ハンカチから青い弾を取り出す。
襲われた時、目で追うにも精一杯なスピードで、ハンカチに青い弾を包んでいたのだ。
花恋「これはブルーダイヤモンド。燃えたから輝きを失っただけ。熱せられて真っ赤になってる時が危険みたいね。煙が危ないのかも。そして、なぜ彼らは私達が見えるか…。ブルーダイヤモンドが身体のどこかに埋め込んであるのよ。」
花恋さんはそっと胸に手を当てる。
まさか!?
夜雨「冠動脈…!?」
花恋「そ。ホープダイヤモンドっていう呪われたダイヤモンドがあってさ。持ってた人が次々不幸に…!っていう話なんだけど。その呪いが私達の弱点になるんじゃないのかな?煙がそのでてきた呪い。みたいな。ブルーダイヤモンドを所持してれば、魔女を見ることができる…!ってやつかもね。幽霊を見ることができるアイテムと同じってこと。」
花恋さんは僕にニコニコと近づいてきて、頭を撫でた。
花恋「でも夜雨君なら喰える。その呪いが効いてないみたいだし。」
ルピ「おいおい…嘘だろ…これがマジなら、夜雨君は救世主だぜ?なるほどな。ブルーダイヤモンドってめちゃくちゃ高いんだよな…。だから全弾ブルーダイヤモンドってわけにもいかないのか…。」
つまり…毒味をしろってこと?
僕は傷跡がもうない手の甲を見る。
確かに…僕は効かないみたいだ。
ラプラス「夜雨。どうする?」
そんなの…決まってるじゃないか。
夜雨「イット・ザ・ペスト。(過去を喰らう)」

再出発

ルピさんは落ち込んでいた。
ルピ「お前らに、ここの秘密基地受け渡そうと思ってたんだけど…バレちまったか…。」
花恋「いつもの事って言いたいけど…貴方最後だもんね…。」
…。
夜雨「ラプラス。魔女達にこう…伝言みたいなのできないかな?このままだと全員魔女狩りにやられてしまうよ」
ラプラス「えっと…うーん…あ!レコード・バードがいる! 」
ルピ「クソ…結局魔女会に行くしかないのか。」
花恋「そうみたいね…」
この世に何人の魔女狩りがいるんだ?
このままだと…魔女が全滅してしまう…。
夜雨「行きましょう。場所わかんないけど…」
その時、小さな鳥が飛んできた。
ラプラス「レコード・バード!皆!少し下がって!」
目の前で鳥が爆発する。
そこに文字が浮かんできた。
花恋「転送呪文!」
ラプラス「呪文に問題はないみたいだ。どうする?ルピ。」
ルピ「ブルーダイヤモンドについて少しまとめた。」
ルピさんは手に青い弾丸を素手で持つ。
数秒後煙が出始めビックリしたのだが。
ルピ「アッチ…!安心しろ!俺が火傷して出た煙だ…!ブルーダイヤモンドで出た煙じゃない!悪魔に聖水かけたら煙りだして苦しむだろ?それと同じやつだ!つまり…ブルーダイヤモンドの煙を吸った魔女はっ…呼吸器が大火傷…!」
花恋「ルピ!?」
とんでもなく酷い火傷だ!
夜雨「ヤバイ…!ヤバいよ!ラプラス!回復魔法は!?」
ラプラス「…誰も使えない…。」
そんな…。
ルピさんは笑い出す。
ルピ「まっ…これで最後だからな。100人喰ったら人間に戻る。記憶もさっぱり忘れてさ。ふう…よし行こうか。皆、ブルーダイヤモンドについては包み隠さず全て言うんだ。話がズレてたらタコ殴り、話があっていたらそんなことはならないはずだ。」
手に包帯を巻くルピさん。
夜雨「分かりました!」
花恋「私が前へ!ラプちゃんは夜雨君に隠れておいて!」
ラプラス「オイラの定位置は夜雨の右ポケットさ!」
花恋「行くわよ…?」
花恋さんが呪文に触れる。
離れないように花恋さんの刀を後から握った。

頼もしい嘘つき。

転生した場所は…海?
「安心して!僕が呼んだのさ!意見交換をしよう!」
ペストマスクを被った女性が話しかけてきた。
どうやら彼女だけのようだ。
個人的に呼んだってことか…。
ルピ「アンタが…?レコード・バード?」
レコード・バード「そそ!」
僕達は意見交換をした。
と言ってもレコード・バードは何も情報はなかった。
ただ、能力で魔女達に情報を送ってくれた。
ルピ「正直言って異常事態だ。」
レコード・バード「このままだと魔女は減るし、願いも叶えづらいよね〜!魔女狩りが世界を崩壊させてしまう!」
花恋さんが溜息をつく。
花恋「私はもう…。普通の学園生活を贈りたいよ。元々魔女向いてないし…。」
レコード・バード「まあまあ!これ!ブルーハワイ!作ったから飲んで飲んで!」
僕は、優愛に復讐をした後はどうするんだろうか?
答えはまだ決まっていない。
もしかしたら優愛ではない誰かに殺されたほうが幸せなんじゃないかと思う。
レコード・バード「ちょ、ちょい!そこの君!フードになんかついてる!」
夜雨「ああ。すいません…あり…」
その時だった。
僕の目の前に優愛の槍が飛んできた。

意外な助っ人

完全油断した。
今回は全く殺気はしなかった。
駄目だ――、死ぬ。
「どうやら間に合ったようですなwフヒw」
後には盾と剣を持った…。
騎士?
あれ?
優愛は?
優愛「それを飲むなぁぁぁっっっ!!!」
優愛は、ルピさんと花恋さんが持っていたブルーハワイを素手で叩き落とす。
優愛「飲んでないよな…!?良かった…。」
ルピ「…優愛?」
優愛はその場でヘタりこんで涙ぐむ。
どういう状況なんだこ――。
その時、後にいた騎士にチョイチョイ…と蹴られる。
「オイオイ…wボーッとしてたらw死ぬぞw」
…?
ハッ!?
レコード・バード!?
後ろを振り返ると、
レコード・バードでは無い巨大な何かがそこにいた。
青い…タコ?
優愛「コイツが!雨子が言ってた奴の一人か!確か…青い宝石とかいう…オオマルモンダコ!」
レコード・バードが能力の名前だったってことか!
オオマルモンダコ「ククク…100人一気に殺せたぞ!私の願いは…ブルータイヤモンドを操る能力!」
優愛「リンゴォ!ヨサメを連れて!一旦引くぞ!山に隠れろ!そいつは今能力で魔女を100人喰らった!強化してアタシ達に挑むつもりだったんだ!魔女全員殺す気だったんだよ!」
その時、タコの大きな足が飛んでくる!
衝撃でぶっ飛ばされた!
あたりが暗くなり、オーロラが空に出ている!?
オーロラが巨大なタコに纏って…更に大きな光を放った!
あれが願いが叶う瞬間か!?

魔女の守護騎士

クソ!完全にはぐれた!
「フフ…wフン…wらしくないことしちゃいました。す、すいません…あ、あの…私興奮すると…笑っちゃって…」
白髪、みつ編み、そして眼鏡のお姉さんがあたふたしている…。
夜雨「あ…。」
強く頭を打ったようだ。
意識が朦朧とする。
ポケットのラプラスを確認する。
ラプラスは心配そうにコチラを見ていた。
ラプラスには安全になるまで絶対に出るなと言ってある。
夜雨「…ラプラス…こめん…!潰れたのかと…」
ラプラス「…安心して…オイラは君達より頑丈…!」
コソコソ話をしているがついにバレてしまった…。
目の前にお姉さんがキラキラした目で立っていた。
「かっwかわいいwwwフッwフッwww」
ラプラス「君は一体…」
凛護「あっ…すいません…私…凛護(りんご)と申します…。優愛ちゃんとは同級生で…。」
凛護さんはあたふたと喋り始める。
ラプラス「優愛って本当に悪いやつなのかな…何でオイラ達を狙ったり…今は助けたり…。」
凛護「理由は…きちんとあるんです…。だけど今は言えない。夜雨ちゃ…wウホッwww二人ともwwwかwわwいwいwww」
急に抱きついてきたぞ!?
夜雨「わっ…わっ!」
凛護「ヘェア…!?すいません…つい…発作が…あの…優愛ちゃんに言うのは止められてて…。多分夜雨くんが死んでも教えてくれないと思う。ラプラス…くん?ちゃん?会うの初めてですよね…?初めまして…。」
そっと僕のポケットからラプラスを取り出す凛護さん。
一瞬身構えたが、可愛いもの好きな良い人にしか見えなかった。
凛護「私ね…保育園で働いてたんです。その前何をやってたかは…これもまた優愛ちゃんに止められてて言えないけど…でもね…保育園の園児が…全員魔女狩り被害にあって…」
凛護さんは段々震えた声で泣き始めた。
凛護「もう一度戦おうって…思ったんです…。優愛ちゃんに会いに行きましょう…どこまで話をしてくれるのか…線引きを持っているのはあの娘ですから…。」
ラプラスに頬ずりする凛護さん。
地面がゆれているのが分かる。
ここで倒れてるだけ時間の無駄だ。
夜雨「よいっ…しょ…」
さて、行きますか!
凛護「夜雨くん!頭から血!」
ラプラス「吹き出てる!吹き出てるよ!」

三神再び

グッ!?
嫌な予感はしていた。
さっきから体が鈍く感じる!
アタシ…タコの毒を食らっている!
ギリギリでルピとカレンを連れてここまではこれたが…。
我慢できず倒れてしまうが、支えてくれたのはルピだった。
ルピ「優愛!おい!」
優愛「まだ死ねない…まだ始まったばかりだってのに…。」
花恋「先輩…!全部話して!」
はぁ…まだまだだな…。  
ルピとカレンを突き放す。
タコの足だ。
花恋「フ…」 
とんでもないスピードでタコの足が木っ端微塵になった?
カレンがやったのか?
花恋「わたしだって成長したんです。突き放したって助けますよ。わたしは。理由があるんでしょ?先輩。」
優愛「あるけど。言えない。」
花恋「どうして!?」
優愛「魔女狩りに負けるからだ!」
ルピ「どういうことだ?」
優愛「ルピ。お前はこのあと私を殺せ。願いを叶えろ。それで勝てるフラグは立てれる。それよりか…まずはこのタコ野郎をなんとかしないとな!」
アタシは立ち上がる。
槍はタコの側だったはずだが…衝撃でどっかへ行ってしまったか…。
優愛「二人ともフォロー頼めるか?そしたら少しだけ教えてやる。」
ルピ「わかったよ。」
花恋「死なせませんよ。わたしは。」
カレンは少し怒ってるようだ。
というか…いつもアタシがやんちゃして怒ってたなこの子。
優愛「駄目だ。ここで死なないと駄目なんだよ。そうしないとアタシも幸せになれない。お前なんか特にこっからめちゃくちゃ不幸な目に会うんだからな。お前のほうが大変なんだ。ルピも願いを叶えてからが本番だ。」
ルピ「俺、全くアンタが言ってること理解できない…」
優愛「どーせ忘れんだろ?さて、長話をしすぎたな。魔女の三神。再結成だ。」
ルピ「そんなこと言われたことねえだろ!」
いいや?
言われたことあるぞ。
優愛「カレン。先陣頼めるか?」
花恋「はい!」
優愛「死ぬなよ?お前ら!行くぞ!」
花恋は無数のタコ足を一瞬で粉々にする。
しかし!タコ足の再生が早い!
ルピ「優愛!花恋!ちょい!下がれ!俺に任せろ!」
キュイイイ…と小さな高音が身体中を、森を、海を震え上がらせる。
ルピ「二人は…すぐ後ろだ!」
!?
後から、リンゴとヨサメが来る。
ラプラスもいるみたいだ!
超音波で察知したのか!
でも――、
夜雨「ハァ…ハァ…」
夜雨は頭からかなりの血を流していた。
リンゴも。
凛護「カパッ…空気感染…!?吐血した!」
マズい…な。
かなりまずい…
優愛「どうする?主人公さん?」
あたしはルピに問いかける。
ルピ「再集合を喜んでる暇はねぇ!」
夜雨「優愛…優愛さん…。」
優愛「ヨサメ…。」
ヨサメはアタシに槍を差し出す。
夜雨「僕は…賭ける。貴方が、良い人だと…」
優愛「アタシは死んでも言わないよ…。ヨサメの秘密は言えない。アンタが前に進めなくなるから。だから。答えを探すのか。探さずに幸せを選ぶのか。アンタに任せることにした。」
アタシは槍を受け取る。
優愛「ヨサメ…。カレンを頼んだぞ。」
ルピ「チャージ完了だ!お前ら!耳塞げ!」
凛護「フラグ…私も優愛ちゃんも折れちゃった…。」
優愛「心は折れちゃいない。槍もな。」
アタシと凛護の最終決戦が始まる。



―――――――――――――――――――
RESULT
喰らった人数31人。
優愛さんに言われた…。
「幸せ」ってなんだ?
雨子を生き返らせるのが幸せか?
魔女狩りを倒すために強くなるのが幸せか?
魔女を辞めて、魔女狩りから追われない事が幸せか?
…幸せってなんだ?

「過去を喰らう」第3話

すいません。あのですね。コロナに感染してしまいまして…歌いたくても歌えないんです…。とっても悲しい。
さて、僕が書いている「過去を喰らう」も、実は四話で最後になる(かも)です。優愛は何を隠しているんでしょうか…?お楽しみに。
花譜ちゃんの過去を喰らうの
URL→https://www.youtube.com/watch?v=tMKrECxEpq8
そして人間六度さんの過去を喰らう(I am here) beyond you.のURL→https://www.youtube.com/watch?v=MyJSW_kpf6g

「過去を喰らう」第3話

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-05-19

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. プロローグ
  2. 呪いのダイヤモンド
  3. 再出発
  4. 頼もしい嘘つき。
  5. 意外な助っ人
  6. 魔女の守護騎士
  7. 三神再び