「帰り路に戻りて」

 地下鉄の追い風の骨身に沁みて
 寒くなる わたくしの体
 吹きつける孤独の風はわたくしの肌をいたづらに冷たくせしめる
 わたくしは
 きっと
 うしなってしまった
 あんまり脆いではないか
 あんまり軽いではないか
 暮れゆく落葉のかけらよりも
 風に弱い人間の…

 また
 わたくしは淡いラムネを手のひらに生みたり
 金剛石だと見誤った
 わたくしを誰が笑わずにいられようか

「帰り路に戻りて」

「帰り路に戻りて」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-05-15

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